ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や地域の人たちの活動や話題をリポートします。

理美容からサービス充実

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 「走る理美容室」からスタートし、デイサービス、訪問介護、介護タクシー、配食サービスなど、5年半で11事業を手がける。京都府与謝野町の特定非営利活動法人(NPO法人)丹後福祉応援団(三井健史理事長)は、お年寄りや障害のある人たちの「ニーズに沿った活動」を続け、事業を広げてきた。目指すは「あってよかったと思われるサービスをそろえた、福祉のコンビニ」である。


 丹後福祉応援団の事務所は、地元商店の人たちがつくるショッピングセンター「ウイル」の駐車場の一画にある。理事長の三井さんは、16年間勤めた特別養護老人ホームを辞め、ここに事務所を置いたのは2001年9月。最初に、資格を持つ友人らと移動福祉理美容事業を始めた。

 ホームにいたころから、ホーム特有の老人の短いカットには違和感を持っていた。年をとっても、認知症になっても、おしゃれしたい、髪をきれいにしたい気持ちは変わらないのでは。そんな思いから、病院や施設に出かけてカットや散髪することを考えついた。最初は、理美容が出来るように改造した車「ちょきぞう」1台でのスタートだった。

 お年寄りらの反響は大きく、毛染めやパーマを頼み、元気にいきいきとした顔をみせる。三井さんらは「髪をきれいにすることは介護にもなる」と確信した。同応援団のシンボルである理美容事業は現在、車は3台に増え、7人のスタッフで豊岡、舞鶴、福知山など約70カ所を回っている。

 その後、ケアプランを作る居宅介護支援事業、訪問介護などの事業を手がけ、02年11月にはショッピングセンターの倉庫を改装してデイサービスセンター「のらくろ」をオープンした。利用者の利便を考えて、年中無休、午後8時まで延長可能というのが特色。ショッピングセンター内にあるので、デイサービスの利用のついでに買い物も出来ると好評。リハビリを主としたデイサービスセンター「生活リハビリ道場」もショッピングセンター内に開いた。理学療法士、看護師、介護福祉士らがお年寄りらのリハビリを助けている。

 手がける事業は、さらに配食サービス、車によるふとん乾燥事業、福祉車両貸出事業などにも広がった。既存の施設にはないサービスが歓迎されている。「利用者のニーズに応えようと、スタッフらと考えた結果」と三井さんはいう。

 高齢者の割合が高い丹後地方だが、三井さんはお年寄りがいつまでも生き生きと暮らせる地域であって欲しいと願っている。「何が望まれているかを考えて事業化し、地域の力を強めることに役立ちたい。それに財政面の安定も」と課題をみすえている。


<メモ> 特定非営利活動法人・丹後福祉応援団 京都府与謝野町温江仲縄。職員43人。TEL0772(44)1122。