ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や地域の人たちの活動や話題をリポートします。

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日吉台の福祉を語る会〈あじさいくらぶ〉



 琵琶湖を望むなだらかな丘陵地に開発された大規模な住宅団地の大津市日吉台。ここで生活する主婦たちが、自分たちの先行きの福祉はどうなるのだろうか? 話しあう中から、15年前に発足したのが日吉台の福祉を語る会〈あじさいくらぶ〉。 団地のメーン道路ぞいの商店街の空き店舗に自らの拠点を作り、地域の人たちが利用する喫茶室、ケアルーム、ITカフェや趣味のサロンなど多彩に活動している。

空き店舗利用 気軽に交流


 空き店舗を確保した後、改修し、2年前オープンした「あじさいの家」は木造2階建て。1階のオープンスペースは30畳ほど。ゆったり、くつろげる。ここでのメーン活動は、あじさい喫茶室。毎週火、金曜の2回、午前10時から午後3時まで。お茶の料金150円。住民たちが自分の家から歩いて行ける近さ。低料金で、1日、自由におしゃべりできる。同くらぶが最初に取り組んだ地域福祉の活動が13年間続いている。

 このほか、歌う会、マンツーマンでパソコン操作を指導するITカフェ、介護福祉士の資格を持つ会員らが協力するケアルーム、リコーダーさろん、陶芸さろんなどさまざまの形で交流が広がっている。

 この会は1992年、日吉台公民館の自主活動サークルとして発足。参加者は新興住宅地だけに他府県出身者ばかりで40歳台後半の主婦を主に20人。親の介護がそろそろ始まる一方で、さて自分は今後、この地域に住み続けることができるのだろうか?

 みんなの思いをもとにして「元気なときも、病気のときも、1人になった時も、困った時も、この住み慣れた家で暮らし続けられる地域づくりを目指し、地域福祉の拠点を作る」と目標を掲げた。

喫茶やIT 活動多彩


 地域の福祉で、なにが問題なのか、なにが必要なのだろうか? 手探りの話し合いの一方で近くに住むお年寄りたちの声を聞いてみた。「時間を気にしないで、おしゃべりする場がほしい」。手始めに、この要望にそって94年に公民館の一室を借りて「あじさいさろん喫茶室」を月1回開設した。ついで99年に「ケアルームあじさい」開設。02年に大津市の高齢者をささえる地域活動の助成事業が適用され、団地内の家一軒を借りて「あじさいの家」を設けた。05年、助成金の期限切れにともなう移転に迫られた窮地から地域の支援により空き店舗を確保し、現在の拠点に改めた。この間に特定非営利活動法人の認証を得ている。

 現在、同団地は1678世帯、住民は約4400人。70歳以上の人が700人で、これから毎年50人程度の増加が見込まれているが、同くらぶの喫茶室には7,80歳から90歳代までの高齢者が訪れ、元気な笑い声にみちている。

 中井まりえ理事長は「人は一人では暮らせないし、人は人によっていやされる。あじさいの家は人が互いに知りあい、つながりあうことができる交流の場なのです」と語っている。


<メモ> 特定非営利活動法人日吉台の福祉を語る会〈あじさいくらぶ〉
     大津市日吉台1−19−6 TEL.077(579)5843