ともに生きる・福祉のページ
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京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や地域の人たちの活動や話題をリポートします。


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滋賀県災害ボランティア活動連絡会


 滋賀県災害ボランティア活動連絡会は、相次ぐ自然災害に備えて「災害ボランティアコーディネーター」養成事業に、このほど着手した。被災地域の住民が互いに助け合う「共助」だけでは手に余る際、災害ボランティアセンターが設置されるが、センターには各地域に即応した中核的なスタッフが必須。近い将来、発生が予測される琵琶湖西岸断層地震などへ備える防災措置が、地域ごとに一歩前進する。


地域防災スタッフ養成 琵琶湖西岸地震へ備え



 第1回の同コーディネーター養成研修(延べ4日間)は、県内の市町社会福祉協議会職員ら41人が受講。講義は災害概論やボランティアセンターの仕組み、要援護者への支援方法、地域福祉活動と防災の関連問題など。また演習では、なにもないところからセンター設置・立ち上げ、さまざまな支援活動の開始までの模擬訓練が中心。

 講義では県総合防災課の中田佳恵副主幹が「滋賀県の災害」について、1953年の台風13号により約6000ヘクタールが浸水して以来、この50年以上、大きな災害を経験していないと概説。また災害対策基本法、地域防災計画における災害ボランティアの設置・運営などの位置付けなどを解説した。次いで特定非営利活動法人レスキューストックヤードの栗田暢之代表理事が、阪神・淡路大震災の「ボランティア元年」からその後の歩みを振り返りながら、ボランティアの目的は「被災者の自立支援」に尽きることを再確認。一方でコーディネーターが不足する実情を報告した。

 全国ボランティア活動振興センターの渋谷篤男所長は日常の地域福祉活動と防災について論じ、福祉課題と生活課題は根が同じとし、福祉と防災の関連を指摘。また中央共同募金会の阿部陽一郎さんは、阪神大震災以後、共同募金会では従来の使途の定まった募金のほかに新たな積立金制度を導入し、災害支援へ臨機の措置が取れるようになった、と報告。ついで地域貢献型の機能の強化など今後の課題を明らかにした。

 養成研修すべての日程を受講した人には修了証が発行され、メンバー登録される。これによって緊急の連絡網を形成するほか、今後の被災地への優先派遣など経験や研修を積み、レベルアップを目指す。

 一方、同連絡会は、県内の市町村に働きかけ、市町村ごとの災害ボランティアセンター設置への準備を促進していく。この方策に対応して同連絡会は「現地災害ボランティア設置マニュアル」(保存版)を新たに作成し、計500部を関係機関へ配布した。同マニュアルは同センターの目的、設置主体、運営方針などの基礎的な事項のほか設置の場所、業務内容、安全確保、資金など詳細に手ほどきしている。

 初年度の研修は、地域社協の職員が主だったが、来年度には青年会議所、労働者福祉協議会など各種団体の関係者へ対象を広げ、地域の防災ネットワークの充実へ役立てていく、としている。


<メモ>滋賀県災害ボランティア活動連絡会
草津市笠山7―8―138、滋賀県社会福祉協議会内。TEL077(567)3924