ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や地域の人たちの活動や話題をリポートします。


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琵琶湖ライフケアシステム


 大津市のJR湖西線小野駅南側にNPO法人(特定非営利活動法人)琵琶湖ライフケアシステムが、喫茶・食堂を開いている。地域の人たちが気軽に交流する「居場所」を―と新規オープンから5カ月。1階の食堂・喫茶に加え、2階にフリールームを備え、趣味の教室のほか、目前の湖面に群がる野鳥観察が楽しめる。大規模な住宅街の一角に、だれでも、ゆっくりくつろげる地域福祉の拠点が育っている。


住民街に居場所づくり


 大津市の琵琶湖西岸のなだらかな丘陵を住宅団地として開発されたびわ湖ローズタウン。分譲開始から30年以上を経て、今や4800戸にのぼるベッドタウン。

 ここに住む主婦ら女性たちが自分たちの先行きを考えながら、「一人でやるより仲間が集まって」介護支援のグループを、とNPO(民間非営利団体)を5年前に立ち上げた。主婦を主にして20数人。なにができるか? 自分たちにできることを生かして、まず高齢者や障害者への配食サービスを計画。近くの民宿の調理場を借りて週2回の弁当配食を始めた。

 その後、ローズタウン内で閉店していたレストランを借りて、配食に次いで喫茶室へ間口を広げた。カウンターと机3つで最大15人が入れて、週1回開いたミニ喫茶に近所のお年寄りたちが次第に集まりだし、午後からの半日をおしゃべりしたり、ゲームをしたり、くつろげる空間となった。

食堂や趣味の教室開く


 昨年は月1回、「元気に食べて健康になろう」と連続の教室を開き、管理栄養士、プロの料理人などの講師が、食について話したあと、料理を楽しみ、多くの人に好評だった。

 ついで、今年初めには、現在の小野駅前の空き店舗を借り受け、従来の配食・喫茶のほかに食堂や物品販売コーナーやフリールームなど備えた多機能な拠点へ。店名は「コミュニティレストラン ボナペティ美湖」。食堂・喫茶は月〜金曜、午前11時から午後4時まで営業。

 日替わり定食600円の自慢は、新鮮な地元産の米や野菜を使っていること。近所の農家から直接仕入れるほか会員からの差し入れなど旬の食材に事欠かないという。NPOの会員約30人を中心にボランティア12人が交代で仕事を分担しながら運営しているが、これからの事業としてフリールームの活用を掲げている。現在、アンケートの要望をもとにして手芸、パソコン、器楽演奏、ゲーム遊技などの教室を計画し、開設へ準備を進めている。

 田中禮子理事長は「新しい拠点を設けて5カ月ですが、利用者が次第に増えています。高齢者だけではなく障害者や熟年世代、若い世代まで利用される方向をめざしています。地域の人たちにとってなじみの居場所として定着し、お互いになじみあえる機会を提供していきたいです」と語っている。


<メモ>NPO法人琵琶湖ライフケアシステム
大津市湖清1ノ1ノ11。TEL077(594)2036