ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や地域の人たちの活動や話題をリポートします。


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和同くらぶ


 地域通貨を使って、住民が互いに助け合おうとする、木津川市加茂町のNPO法人(特定非営利活動法人)和同くらぶ(古谷守理事長)は、3年前の発足以来、着実な活動を続けている。今年2月からは、新しく地域を走るコミュニティーバスの運行も同くらぶが受託した。バスは、お年寄りの買い物、病院通いや子どもたちの通学の足として利用されている。住民のボランティアで始まった活動が、地域に欠かせない存在となってきた。


地域通貨使い、助け合う コミュニティーバス運行も



 加茂町は、奈良時代の貨幣「和同開珎」を鋳造していた土地の一つ。そこから地域通貨の名称を「和同」とし、くらぶの名称にもした。

 地域通貨の仕組みは簡単。まず和同を使おうとする人は和同くらぶに入会する。年会費1200円と「和同」購入費2400円を支払うと、地域通貨24和同(1和同100円)が交付される。

 くらぶに入会した人は、自分がボランティアで「できること」と「してほしいこと」のサービス内容を登録する。例えば、「庭掃除、草引き」「簡単な家電修理」「話し相手」「パソコン指導」「買い物代行」など。

 そして、「庭掃除」をしてほしい人は、そのサービスができると登録している人からサービスを受ける、基本的には1時間5和同を目安にしている。こうして会員同士が「和同」を使って助け合うシステム。この「和同」は、町商工会の商品券500円と5和同が交換(手数料100円必要)できるので、町内の買い物にも利用が可能。

写真  2004年8月にスタートし、会員は現在約50人。事務局では「当初考えていたほど利用は多くない。他人に仕事を頼むことにまだ抵抗があるのかもしれない。もう少し利用しやすい方法の検討も必要かもしれない」という。

 この地域通貨を利用した相互扶助の活動を続ける中で、同くらぶは旧加茂町のコミュニティーバス運行に名乗りを上げた。

 同町には、主要道路を奈良交通とその子会社のバスが3路線走っている。しかし、集落が点在している上、高齢化が進み、買い物や通院にコミュニティーバスが望まれていた。旧町では、バスの自主運行を目指してマイクロバス2台(29人乗りと25人乗り)、ワゴン車(10人乗り)2台を購入。民間バスの走らない地域で、5路線を走らせることにし、その運行の委託事業を、同くらぶが落札した。

 同くらぶでは、運転手5人と運行管理者を採用、2月19日から運行を始めた。月水金の3日と一部で通学に利用。運賃は200円(小学生100円)。スタートから3月末までで、約1000人の利用があった。古谷さんは「人の少ない地域を走っているバスとしては、よく利用してもらっているのでは」と見ている。バスの運行を受託したのは「地域の人たちの暮らしが便利になるように」との思いから。古谷さんは「少しでも収益が出れば、和同くらぶのPRや事業に使って充実させたい」と考えている。

<メモ>和同くらぶ
事務局・木津川市加茂町里南古田24、加茂町商工会内TEL0774(76)2970