ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や地域の人たちの活動や話題をリポートします。


近江八幡の「ワールド・アミーゴ・クラブ」


写真
 外国籍をもつ住民の子どもたちの学校の宿題の手助けや日本語学習の支援を、とワールド・アミーゴ・クラブは、6年前から近江八幡市でボランティア活動を続けている。どの国や地域にあっても、子どもは教育を受ける権利があると広く認められつつあるが、そのためには、きめ細かく行き届いた措置が欠かせない。母国語のほかに日本語の習得というハンディを背負う子どもたちへ、基礎的なサポートが地道に進められている。


外国人子弟の学習支援



 7年前、近江八幡市が設けている外国人窓口相談員に、外国籍の家族から「子どもの夏休みの宿題を親がみてやれないので、何とかならないか」との相談が寄せられた。親は就労している上、日本語を教える力が乏しいというので、同相談員が手助けをした。やがて、相談員一人だけの努力では間に合わなくなって、翌年には教師などにボランティアを呼び掛けた。10人ほど講師が集まり、週1回、近江八幡市人権センターで教室を開くに至った。その後、在日の韓国、朝鮮の子どもたちやさまざまなルーツをもつ子どもたちとの交流を進めている。

 現在、講師ボランティアは15?6人、登録された子どもたちが約30人。近江八幡市と周辺の市町から通ってきているが、遠いところは講師がマイカーで送迎もしている。

文化交流の場にも



 教室は土曜日の午前中、2時間。補習は、それぞれに当面する課題を手助けする。子ども1人に講師1人がつきっきりで、きめ細かく行き届いている。小学生たちは算数の掛け算を習ったり、漢字の書き取りをしたり、個別に補習している。

 また一昨年からは、小学生に次いで中学生の教室を放課後に地域の公民館で開いている。その生徒たちの間で高校進学の希望が生まれ、うち2人が滋賀県立高校に合格。子どもたちには新たな局面が切り開かれている。それまでは日本語のハンディから高校進学の壁は高く、挑戦することさえ難しかったというが、これからの後輩たちには明確な目標が見えている。

 同クラブは学習指導だけにとどまらず、夏休みや冬休みには日本のもちつきなどそれぞれの風習や文化の交流や体験の催しを開催してもいる。講師の吉積尚子さんらは「さまざまな子どもたち同士が出会って、互いに知り合い、友だちになっている。それが子どもの力になっている」と、教室の利点を指摘。また「地域で孤立しがちな子どもたちが多くの大人たちに出会える機会にもなっている」ともいう。

 安徳烈・同クラブ実行委員長は「いろんな国籍の子どもたちが、この教室で出会えることは、ラッキーな機会であり、それぞれのアイデンティティーを保ちながら、健全な生活ができる子どもに育ってほしい」と語っている。

<メモ>ワールド・アミーゴ・クラブ
近江八幡市パートナーシップ推進課、近江八幡市桜宮町236。TEL0748(36)5552