ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。

おおつ障害者働き・暮らし応援センター

写真  「障害者雇用促進法」により国、地方公共団体、民間企業に障害者の雇用義務が制度化されているが、その目標の達成へ向けて、障害者の就業と暮らしを支援する活動が進んでいる。大津市のおおつ障害者働き・暮らし応援センター(愛称はっち)は、発足から3年目に入り、障害者の仕事と生活についての相談とともに協力機関との提携によるサポート体制を整えている。

雇用率上昇へ連携築く

 同促進法が定める障害者雇用率は、民間企業1.8%で、昨年6月現在、全国平均1.52%に対し滋賀県は1.70%。また法定雇用率を達成した企業の比率は56.9%で、全国平均43.4%を上回っている。この間、平成17年度の県内の「働き・暮らし応援センター」経由による新規就業者は107人にのぼっている(滋賀県調べ)。同センターは、最初に県の委託事業を受け、ついで昨年から国の委託に沿った「おおつ障害者就業・生活支援センター」も運営している。同様なセンターが、現在、滋賀県内5カ所に設置されている。

 スタッフは白杉滋朗センター長ら雇用、生活支援ワーカー6人。障害者や高齢者などから「まず話を聞く」―ワンストップ・サービスが第一という。この2年間の相談者は210人にのぼり、年間100人を超えている。相談内容は仕事と生活面でさまざまに及ぶが、同センターで独自対応するほかハローワーク、作業所、企業、学校や地域住民など協力、連携のネットワークによって問題解決を図っている。

就業後 支援欠かさず

 就業関連ではハローワークの協力により仕事先の見学、体験・実習、ジョブコーチなど引き受けている。また一般企業への就労がすぐさまは難しい場合は、共同作業所を紹介するなどしている。一方、継続的な就労に必要な生活リズムを安定させるために休日の過ごし方、金銭の使い方、余暇利用などサポートする。同センター経由で就職した人が昨年30人にのぼり、開所後では計約60人。このうちで定着する人がある半面、離職する人もあり、雇用率をアップするには、就業以降のサポートが欠かせないという。

 「これまでは、なんとか就労を後押しするのが精一杯でした。実際に、その面を推進していくと、いかに定着していくか。つまり離職や転職の問題が新たに見えてくる。学校から共同作業所へ、そして企業へと、問題が移行しています。実際の仕事の現場では障害者と企業の同僚たちとは、長年、別々の場所で分かれて教育を受けている経過から、お互い同士なじみが薄く、相互理解の不足が否めないんです。ハード面だけではなく、ソフト面でのバリアフリーが必要になってきています」と白杉さんは、次の段階へ取り組んでいる。そして「障害者とともに働き、暮らしあう、という社会へ、家庭、地域、企業が少しずつ力を寄せ合ったらいいのでないかと思っているんです」と語る。

<メモ>おおつ障害者働き・暮らし応援センター
大津市京町3-5-12、森田ビル1階 TEL.077(522)5142