ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。

あんふぁんカフェ

写真  大津市浜大津に昨春、開館した大津市子育て総合支援センターゆめっこが、子育て最中の家族に人気を呼んでいる。同センターに付設する飲食店「あんふぁんカフェ」は、訪れた母と子どもでにぎわっている。カフェは社会福祉法人共生シンフォニー(大津市)が市から受託運営し、健常者と障害者がともに働く新しいタイプの事業所となっている。開業から2年目に入ったスタッフたちは「子どもたちの成長とともに育つカフェへ」と願っている。

障害者の新しい職場に
 かつて大津の繁華街として栄えた浜大津。近年の沈滞から再開発への拠点として建設された大型ビル「明日都」。その3階に、ゆめっこが入っている。通年、天候に左右されずに利用可能な屋内の広い遊び場を中心とし、さまざまなランド(遊び場)、図書コーナー、交流ホールなど完備。利用者は地元のほか京都や湖南一帯に広がり、年間来場者が12万人を超えている。

 同カフェは、この来場者に飲食のサービスを提供するとともにセンターで知り合った人たちの交流、いこいの場所となっている。ゆったりしたスペースにテーブル10卓、いす40脚にベビーチェア8脚を備える。スタッフはチーフの小林友香理さんのほか障害者5人を含めて計7人。それぞれの能力に合わせて役割を分担し、調理補助や卓上セッティング、料理運びなど、さまざまな仕事に対応している。メニューは大人向きと子ども向きのランチをメーンにし、乳幼児向きの離乳食、幼児向きのお子さまうどんなどを用意。またミルク、みかんジュースなど飲みものもそろえている。ゆめっこの利用者は就学前幼児が多いため、お子さまうどんが歓迎されているという。営業は火曜から日曜。月曜が定休。午前10時から午後5時まで。

ともに働き育つ
 この店は従来の共同作業所とはタイプが異なっている。滋賀県では福祉的な就労を主とした従来型作業所から雇用者の半数以上と雇用契約を結ぶ「事業所型作業所」を7年前に設け、さらに2年前、障害者と障害のない人が対等に働く形態の職場へ就労支援するという社会的事業所制を設けている。この適用を受ける同カフェは働く人と雇用契約を結び、収益と補助金により最低賃金を保証している。

 浜大津の中心という恵まれた立地に加えて同ビルには消費生活センター、市民活動センター、国際交流サロンなど多様な市民が寄り集まるところ。その中の交流の場として、貴重な位置を占めている。チーフの小林さんは「この1年、全員が働き通して、誰一人やめることがなかった。これといって大きな問題もなく、また初年度の売り上げ目標を達成できました」と報告。ついで「しだいに常連さんが増えてきて、私たちスタッフと顔なじみになっています。子どもさんといっしょにあれこれ話したり、店外で出会ってあいさつを交わすなど人間関係が築かれています」と新たな状況を話している。

<メモ>あんふぁんカフェ
大津市浜大津4―1―1 TEL077(527)8753