ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。

Dance&People


「ひととダンスの縁結び」。ダンスの領域が、健常者はもとより、幼児や高齢者から障害者まで、新たな広がりを見せている。この分野の企画制作グループ「Dance&People」(京都市)は、京都から大阪、尼崎など関西圏でカラダについてのワークショップや公演を展開。さまざまなカラダの出会いとやりとりに注目し、そこからコミュニケーションの通路を切り開いている。


写真
自分の体をつかってみよう、と
ワークショップに取り組む参加者たち(京都市内)
ダンスの出会い 広がる


同グループは6年前に設立。メンバーは代表五島智子さん、井野知子さん(日本ライトハウス=大阪)、宍戸信子さん(コミュニティーアーティスト)、中西恵子さん(朗読家)、藤原理恵子さん(ソロダンサー)の5人。世界的に舞踊活動をした「白虎社」(京都)のメンバーだった五島さんは、94年のグループ解散のあと、重度障害者の介護に携わったことがある。その際、それまでに気づかなかった体の動きを学んだという。「介護の現場は、介護される人と介護する方との体のやりとりが、まるでデュエットの踊りとそっくりなんです。いろんな動き、細かいところまでとらえると、膨大なレポートができてしまうんです」と、ダンサー独特の視点から介護をとらえ直す。

そこから、さまざまな身体性をもつ人たちが参加する「ワークショップ」を2002年に企画、制作した。最初は、「ろう者によるろう者のためのダンスワークショップ」。ついで介護者を対象とした「介護はダンスだ?」、発達障害児と支援者向けに「からだをつかってあそぼ」、「見える人と見えない人のダンス」(尼崎市)、障がいのある人とコンテンポラリーダンサーとの出会い」などを企画。また「視覚障がい者にもわかりやすいボディーワーク」、「おしゃれ宣言・障がい者によるファッションショー」(東大阪市)などユニークな催しにかかわっている。

カラダの力で対話を

また公演「しでかすカラダ」シリーズが今春、京都で3回目を迎え、ワークショップ出身でソロを踊る人が育っている。その中でさまざまな工夫をしている。ワークショップでは前に座った人を触ったり、振動を伝えあったり、あるいは寝たきりの人の足だけの踊りをステージ化してもいる。さらに中途失明で家に閉じこもった人が体を動かし新たな力を感じてもらう試みとか。ある公演では来場者のうち視覚障害者に上演前のステージに上ってもらいダンスの場を体感してもらい、次いで副音声ガイドで補うなど、さまざまに試行錯誤を続けている。「体は未知で不思議な力を持っている。自分の体によって伝えようとし、コミュニケーションを図ることが表現になっていく。異なる体が出会い、やりとりする。そこから新しい何かが生まれる可能性があります」。五島さんは確かな手応えを感じ取っている。

<メモ>Dance&People
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