ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。

守山の共同作業所ポプリン


 心を和ます、ほっとするおいしさ。守山市の共同作業所ポプリンの作るお菓子は、そんな風味を伝えている。町角に直売を兼ねた喫茶店を構えていて、近くの住民や福祉関係者ら常連客にとって、小さな憩いのスペースとなっている。隣接した菓子製造の作業所には、最近、菓子作りに関心を寄せる若い女性たちが多く働きだし、ポプリンに新たな活気をもたらしている。


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共同作業所ポプリンは、元気な若い人であふれている
菓子作りや喫茶で活気


 9年前、障害者と保護者らが「ハンディにもかかわらず働ける場所を作ろう」と作業所を設立した。当初は障害者5人とスタッフ2人、計7人でこぢんまりとしていた。菓子製造を習った人がスタッフにいたことを生かして、最初から菓子作りを手がけた。半年後には作業所の片隅を利用し、喫茶コーナーを設置。その後、作業場を近接のアパートに移し、直売・喫茶店に拡大している。

 現在、作業所で働く障害者は24人に増え、スタッフ4人、パート2人と規模を大きくしている。就業者は地元の守山のほか野洲、草津、栗東など湖南一帯から通ってきている。年代は10代から50歳代に及ぶが、最近は若い女性にケーキ作りが人気があることから若い女性の就業が多くなり、平均年齢が20歳代と若返っている。この間、実習者を除いて1年未満で辞める人は、ほとんどなく、定着率のいいのが自慢である。通常は月―金曜、午前10時から午後4時の勤務時間(ただし喫茶店は午後6時まで営業)。常時、12、3人が菓子作りの作業に従事しているが、なかには週2、3回、曜日を決めて通所する人も混じっている。

地域の憩いの場所に

 製造しているのはクッキーとパウンドケーキ。材料は地元産のタマゴや北海道直送のバター、小麦粉、広島産の砂糖など有機栽培、無添加の良品を選び、コーヒー、紅茶も同様な産品を扱っているという。菓子製造用の機械類はタマゴの泡立て機以外は一切導入せず、手仕事を主としている。また、同市内に畑2アールの使用提供を受けて、サツマイモと黒豆を自力生産し、その収穫産品を使って期間限定で菓子類を販売してもいる。クッキーはアーモンド、ラムレーズン、チョコ&クルミ、黒豆など7種。120グラムで各400円。パウンドケーキはオレンジ、フルーツ、クルミなど4種で、1本が各1200円。郵送販売もしており、遠いところでは東北、九州から引き合いがあったという。

 園田恵子代表は「クッキーの生地をこねあげるまでに8時間かかります。ひたすら手作業で、ていねいに作っています。設立趣旨から、生産能力や売り上げ向上を目的としているわけではありません。みんなが働きに来られる場所を確保し、ゆったり働けることを大事にしていこうと思っています」と、存在の意義を話している。

<メモ>共同作業所ポプリン
守山市金森町57ノ3 TEL・ファクス077(582)5916