ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。

社会福祉法人にぎやか会


 社会福祉法人にぎやか会(草津市)が設立10周年の節目を乗り越え、福祉事業を着々と、多様に充実させている。10年前、設立した障害者の通所授産施設にぎやか塾を始まりとし、生活を支援する短期入所事業からヘルパー派遣の居宅介護事業、ついで喫茶店の委託運営やグループホームの開設、さらには児童の夏休み支援事業から平日の学童保育まで、毎年のように新規事業を展開。「進展の10年」が注目されている。


写真
部品の組み立て作業をする利用者たち
新事業で進展の10年


 同法人は「お役にたちます」「共にいきます」「助け合います」の3項を自らの理念としている。その中では利用者へ単にサービスを提供するだけではなく、利用者、家族はじめ職員や地域の関係者など広く市民が対等に認め合い、支え合う地域づくりをめざしている。

 その始まりは保護者や地域の人たち、学校関係者などが集まり、知的障害者が働ける作業所をつくること。草津市郊外の丘陵地に敷地(約2600平方メートル)を確保し、作業所を建設。1997年春、定員30人で開所。重度の人も引き受ける数少ない作業所とあって地元草津から湖南、大津市南部まで通所エリアが広がった。3年後、より意欲的に働き、適切な給与とともに自立を目指すというニーズにそって、同市内の別のところに第二の共同作業所にぎやか工房を増設。当初の定員は5人だったが、希望者が相次ぎ、いまでは同18人へ拡張している。

 2002年には、要望にそって生活支援へ踏みだした。主に土曜日にショートステイを受け入れ、利用者以外の地域の人や養護学校生へも開放。家族介護を軽減している。

 ついで03年には、しが県民芸術創造館(草津市)の「喫茶しゃぼん玉」を委託運営。またグループホームにぎやかの家を開所してもいる。木造民家を借りて、4人が生活し、作業所に通うという自立のシステムを形作っている。

作業所から学童保育まで

 一方、04年夏から家に閉じこもりがちな障害児のための「サマーホリデーサービス」(草津市委託)に着手、計20日で延べ700人が参加。うちわ作りなど工作や水泳、人形劇など多彩なプログラムが組まれている。ついで昨年から平日の学童保育事業の開始へ発展してきている。この間、05年にはヘルパー派遣事業としてにぎやかステーションを開設。登録ヘルパー30人が、土曜日の外出や日祝日などの在宅生活などを支援。

 一方、地域連携では後援会山寺ハートビレッジ(会員300人)が協力を惜しまない。年2回のバザーにはトラック3台分、約4000点の寄託品を集め、映画会やコンサート、交流会などの催しにより、チャリティー協力をしている。この10年の歩みについて、にぎやか塾所長園田実乗さんは「計画に従って進んできたのではなく、実際は利用者の声に押され、なんとかできないか、と応えてきたのが実状なんです」と振り返る。そして「最初の10年は青年期。これからの10年、20年後を充実させないと」と期している。

<メモ>社会福祉法人にぎやか会
滋賀県草津市山寺町1215ノ3 TEL.077(567)2920