ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


マムズ Hot Station


 子どもへの虐待を防ぐには、親子の良い関係を築くことが一番。長岡京市のマムズ Hot Station(冨岡友美代表)は、未就園児の親子の子育て支援を続けている。親子遊びや料理教室、母親教室など幅広い活動を通じて、楽しい親子関係をつくり、現代社会に広がっている幼児や児童虐待の予防・防止を進めようと、熱心な取り組みをしている。

写真
子どもとの楽しい遊びを学ぶお母さんたち
(長岡京市立中央公民館)
虐待防止へ親子教室



 8月下旬、長岡京市の中央公民館で、マムズ Hot Station が主催する母親教室が開かれた。参加したのは赤ちゃんを抱いた10人のお母さん。赤ちゃんは臨時の託児室に預け、お母さんたちは教室へ。この日の講師は長岡京市子育て支援センターの相談員。

 赤ちゃんや子どもを相手にした遊びのいろいろを、楽しみながら実際に体を動かし、お母さんたちに指導した。参加者の1人は「自分だけではわからない子育ての情報を教えてもらえるし、お母さん同士の交流の場にもなる」と、参加の動機を話していた。

 マムズ Hot Station の設立は10年前の1997年4月。代表の冨岡さんは、児童養護施設のボランティアをしていた時代に、虐待を受けた多くの子どもたちに接した。この経験をきっかけに、なんとか虐待予防ができないかと、親子のサークル活動を考えた。

 大学の先生や学生の応援を受けながら、最初は親子遊びのサークルから始めた。当時は、子どもへの虐待がまだそれほど表面にでていなかったこともあり、虐待予防というテーマはお母さんたちの話題になりにくかったという。活動を続けるうち、仲間や支援者が増え、会員は現在40組。主な活動内容は、親子を対象とした親子遊び、親がリフレッシュするための託児付き体操、オーガニック料理教室、母親教室などに広がっている。また月1回、長岡京市民活動サポートセンターとタイアップして、コンサートや人形劇を開催している。「親子で楽しんでもらうことがなによりの予防」と考えている。

 乳幼児らへの虐待事件は、最近さまざまな形で表面化し、その内容は悪質、陰湿で深刻な社会問題になってきている。昨年10月には、長岡京市でも幼児の虐待死事件が起こった。冨岡さんは「大変ショックを受けた。助けを求めている子どもたちに、どうしたら支援の手が届くのか。私たちの活動が、より必要だということを感じた」という。

 そして冨岡さんが10年間の活動を通して思うのは、「小さいときの親子関係が原点」ということ。「親が子どもの目線で見て、考えてやれば、虐待は、そこに至るまでに防げるはず」と確信している。「子どもたちがお母さんとの生活を楽しんで、大きくなるお手伝いをするために」もっと地域に根ざした活動を続けようと考えている。

<メモ>マムズ Hot Station
長岡京市勝竜寺19ノ21 TEL.075(956)4672