ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


アイ・コラボレーション


 脊髄(せきずい)損傷などに伴い、車いすを使う障害者らが設立した特定非営利活動法人(NPO法人)「アイ・コラボレーション」(草津市)は、IT(情報技術)事業所として発足から7年を迎えた。この間、滋賀県内から京都市、神戸市、三重県内で、事業所を7カ所まで増設。ついで今春から従来の事業所型作業所から滋賀県内初の重点機能型地域活動支援センターへと組織替えし、障害者が地域で普通に働き、暮らすために、さまざまな活動を展開している。

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訓練生や研修生などを迎えながらIT事業を進める草津事務所
障害者がベンチャー


 設立は2000年春。県脊髄損傷者協会の役員らの呼びかけで12人が集まり、ITを活用した事業所を開設。「障害者と健常者がとともに働く」ことを理念とし、当初は、それぞれが自分のパソコンを持ちより、「サイバースペースにバリアーはない」として、福祉分野では異例のベンチャー事業を立ち上げた。

 まず、インターネットのホームページ作成を手がけ、次いで車いすハート探検隊が県内全域の障害者向けトイレを全調査した情報をまとめた「トイレマップ」を発行。また、県内の地域別バリアフリー施設のデータを収録した「お出かけマップ」など出版している。

 その後、印刷、映像コンテンツ、システム・プログラム作成、IT教室の開催、IT講師派遣など業容を拡大している。その間、01年には県から事業所型作業所の認定を受け、半数以上の人と契約を結び、最低賃金を保証している。一方、同年には信楽、多賀町に各事務所を増設。次いで03年、三重県伊賀事務所、05年神戸事務所、06年京都市内にブースを借りて「ドリーム・シップ」を開所し、事務所は4府県に計7カ所という発展ぶり。現在、働く人が80人に達し、うち障害者は60人を占め、ニュービジネス業界に新規就労の道を切り開いてきている。

ITで新規就労を開拓


 就労支援としては昨年に「障害者IT訓練センター」を併設。3カ月単位での訓練コースが設定し、さらに障害をもつ大学生などのIT研修も受け入れている。

 設立メンバーの1人の角井数明さんは「初めは乏しい技術だけに必死でしたが、外部の協力もあって、小さな成果を積み重ねてきました。IT業界は競争が厳しいので、組織変えとともに一層努力しないと」と、引き締めている。

 そして岡本幸助理事長は「ここでは身体障害者のほか知能障害者を含めて、それぞれの能力に応じて仕事をしてもらっている。つまり、仕事とともに訓練の場であり、教育の場でもあります。これから普通の企業なみの賃金を支払っていくには、なんとか団塊の世代を含めて人的な協力、支援があるとありがたいです」と、次のステップへ期待をかけている。

<メモ>アイ・コラボレーション
草津市草津3丁目14ノ40 TEL077(569)4777