ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


生活よろず相談所「たよりになる輪」


 高齢者や障害のある人たちの生活をサポートしている宇治市のNPO法人(特定非営利活動法人)生活相談所「たよりになる輪」(小林千草理事長)は、介護保険や障害者自立支援法などで支えきれない人たちの福祉サービスや権利擁護支援を主に担っている。一人一人のニーズに合ったきめ細かな事業で、地域の助け合いの輪を広げている。

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障害のある人らが参加する音楽療法。
心身のリラックスに好評(東宇治コミュニティーセンター)
福祉サービスと権利擁護


 月中旬、東宇治コミュニティセンターで、音楽療法とアロマハンドマッサージの会が催された。知的障害のある人やヘルパー、ボランティアら34人が参加、音楽療法の専門家4人が指導にあたった。ピアノなどの演奏に合わせて参加者が「海」、「シャボン玉」などを歌い、太鼓や笛を鳴らしながら体を動かし、音楽を楽しんだ。また、このあと、希望者はアロマオイルによるマッサージでリラックスした。

 この催しは、生活よろず相談所「たよりになる輪」が2カ月に1回開催しているリフレッシュ事業の1つ。同団体は4年前の2003年に設立。高齢者福祉の仕事に長年携わってきた小林さんが、一人暮らしで生活に困っている高齢者や障害者が多いことを知り、支援するシステムを作りたいと考えたのがきっかけ。

 最初は、障害者施策が「措置制度」から「支援費制度」となったのにあわせ、障害者居宅介護事業に取り組んだ。障害者の入浴やトイレ、身の回りの世話、外出のサポートなど、登録ヘルパー12人でのスタートだった。当時、宇治市でこうした事業に取り組んだところは少なかったという。

 その後、高齢者の権利擁護支援も始めた。一人暮らしで、施設に入所したいけれど保証人がいない、認知症で金銭管理をしてくれる人が必要、という老人が急速に増えている。身元保証引き受け、任意後見契約の必要性が高まってきたからだ。

ニーズに応じ きめ細かく


 このほか、外出や通院などに困っている高齢者や障害者のためにリフト付き車両や自動車による移送サービス、介護保険が使えない人の入浴や食事介助、家事援助、また介護保険が適用されない庭の草取り、話し相手、行楽の付き添いなどの分野の有償ボランティア事業も行っている。

 小林理事長は、「介護保険や『支援費制度』、昨年からの『障害者自立支援法』の施行で福祉行政が大きく変化しました。この結果、十分な福祉サービスを受けられない障害者や高齢者が多くなっています。こうした人たちが、地域で安心して暮らしていけるためのサポート体制が必要です」と、事業に取り組む思いを語る。

 事業を続ける中で、利用者のニーズが思っている以上に広いことも分かってきた。小林理事長は「団塊世代の人たちもボランティアに参加してもらって、やりがいある助け合い事業にしていきたい。そして、地域の人たちに、頼りになるわ、といわれるようにしたい」と意欲を燃やしている。

<メモ>NPO法人生活よろず相談所「たよりになる輪」
宇治市五ヶ庄平野12ノ15 TEL.0774(38)1272