ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


病気と子どもネット・京都


 病気の子どもたちが、最善の医療や教育を受け、遊ぶ機会も持てるように支援している、病気と子どもネット・京都(森田直子代表)は、お母さんらに信頼されるネットワークづくりに取り組んでいる。子どもたちや親が病気のつらさや苦しみを乗り越えられるように、医療や支援の情報発信、相談活動を続ける一方、毎年夏には医療スタッフも参加してサマーキャンプを実施、子どもの成長に「協働」して成果をあげている。

写真
サマーキャンプで、子どもたちは気球体験を楽しんだ
(2005年夏、近江八幡市の京都YMCAサバエ教育キャンプ場)
医療や支援 情報を発信


 今年も8月18、19の両日、近江八幡市佐波江町のキャンプ場で、病気と子どもネット・京都と京都YMCAが主催するサマーキャンプが開かれた。参加者は子ども24人、それにスタッフが医師、看護師、キャンプリーダー、ボランティアら76人。子どもたちは、在宅で通院治療をしていたり、すでに治療を終えている子らで、京都、滋賀、奈良、大阪、九州などから集まった。

 このキャンプは今年で5回目。2日間に渡って、パーティーや気球体験、クルージングなどを楽しむ。心臓病や悪性腫瘍(しゅよう)などの難病があったり、障害のために、いつもは親がつきっきりで世話をしている子どもたちも、この時は一人で参加する。ただし、その子どもたちをサポートするために、主治医など医師、看護師らが多数参加しているのが特徴だ。昨年のキャンプ報告の中で、医師らは「病気の子どもたちの笑顔がうれしかった」と記し、保護者は「素晴らしい体験ができた」と感謝した。今では子どもたちのために、毎年欠かせないイベントとして定着している。

協働でキャンプ企画


 病気と子どもネット・京都の設立は2000年5月。代表の森田さんは、看護師として大学病院で勤務したり、アメリカで院内学級のボランティアを経験、また京都難病団体連絡協議会の相談員などもしてきた。そうした経験を積む中で、病気の子どもたちや親が求めながら、足りないものが多いことに気付いた。例えば病気や病院情報、医療・福祉制度、患者のネットワークなど。

雑誌  そうした情報を、求めている多くの人に伝えるネっトワークを作りたいというのが会設立の動機だった。そして最初の大きな事業は情報誌「choice」の作成。この冊子には京都、大阪の病院情報(小児の専門外来)面会時間、学習場所など)、福祉制度情報(医療費支援)障害者支援、経済支援など)、患者会、支援グループ、専門職の説明、地域医療の紹介など、子どもの病気と治療に必要な情報を網羅し、作成に足かけ3年を要したという力作。当初は無料配布したが、現在は1冊500円。

 このほか現在、毎週火曜日に看護師やソーシャルワーカーら専門家が病気などについて相談に応じる窓口を設けている。また機関紙を年4回発行、ホームページでも情報発信している。

 会の活動を資金面で応援してくれる人たちも増えているが、代表の森田さんは「病気の子どもたちのために、無理をせず地道に活動を続けていきたい」と静かな口調で話している。

<メモ>病気と子どもネット・京都
京都市下京区五条通高倉西入ル万寿寺町143 いづつビル6階。TEL.075(344)4626=火曜日のみ。メールkodomonet@npo-net.or.jp