ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


ワイワイあぼしクラブ


 特定非営利活動法人(NPO法人)ワイワイあぼしクラブは、最新型のグループホーム「南花(さざんか)」(湖南市石部)を開設して半年を迎えた。同ホームはバリアフリーでオール電化のエコスタイルの装備とともに市民農園を併設。地域の人たちと交流しながら野菜類を栽培するなどのどかな郊外生活を実現している。前身の「あいふる荘」は知的障害者が地域に暮らし始める試みだったが、その設立から、およそ四半世紀、同グループは地域との共生を着実に進めている。

写真
グループホーム南花に付設する市民農園でのイモ掘り
入居者本位と共生 両立


 同ホームは木造二階建て、延べ床面積244平方メートル。居室6部屋。事務室、宿直室各1室、浴室とトイレ各2カ所を完備。男性4人、女性2人とともに夜間の宿直者1人が同居している。入居者は、一般企業や共同作業所などに勤めている。

 同グループは、1983年に石部で働く障害者たちが住む「あいふる荘」の設立を初めとし、障害者のグループホーム4カ所、高齢者のグループホーム1カ所を次々に整備した。南花の建設計画は、ある福祉賞を受賞した溝口弘同NPO法人理事長が、受賞記念として関係者とともにデンマークへ研修旅行し現地のグループホームを見学したのが契機となっている。すばらしく整った建物、設備に「カルチャーショックを覚えた」という参加者らの間で、「住む人個々人に快適性のある質の高いグループホームを」との思いへ拍車が掛かり、建設に踏み切ったという。

 主な資金は、近畿労働金庫が福祉NPO系法人をサポートする「地域共生推進事業」へのモデル事業と認められて融資を受けた。これは滋賀県内では初の本格的な試みとして注目されている。

快適なグループホーム


 同ホームの支援体制は、世話人2人が交代で家事を引き受けるほか同居人が夜間の急用などを担当し、さらに看護師、生活支援員も加わる。一方、ホーム内はバリアフリーとし、各個室は畳とフローリングの両仕様の上、ミニキッチンを装備。また余暇支援として付設の市民農園での農作業が楽しめるほか同NPO法人が近くで運営する地域拠点「あったかほーむ・いしべ宿」を手軽に利用できる。

 世話人の城容江さんは朝と夕方のパート勤務で掃除や買いもの、夕食の準備など家事を担当するとともに入居者と日々の話題から週末の計画などあれこれと話しあい、生活面を支援している。「グループホームに初めて暮らす人もありますが、みなさん快適な暮らしに満足されているようです」と城さんの手応えは十分。

 溝口さんは「今回の用地も地元の所有者の方々から格安で譲ってもらうなど地域のいろんな人たちの支えを、ずっと受けています。最近は、入居者の方が近所の家へふらっと尋ねていき、おしゃべりをするなど、ごく自然なつきあいが生まれています。当初に比べて地域とのかかわりが深くなってきていますが、これは入居者の方々の力によるものです。これからも、一人でも多くの人が住み慣れた町で、みんなが住みやすくなるようにめざしたいものです」と話している。

<メモ>特定非営利活動法人ワイワイあぼしクラブ
湖南市石部東7ノ5ノ9 TEL.0748(77)6723