ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


真盛園地域交流センター「老いも若きも」


 比叡山延暦寺の門前町、大津市坂本の真盛園地域交流センター「老いも若きも」は設立から3年目。集落のなかの空き家を利用した、ごく自然な構え。まだまだ元気なお年寄りから赤ちゃんを抱いた若い母たち、音楽サークルの人たち、宿題をかかえた小学生、昼食を食べに寄る大人たちまで、さまざまな世代に、くつろげる場所を提供している。名称通りに幼児から高齢者まで集まる「みんなの家」と親しまれている。

写真
音楽サークルの合奏練習に飛び入りする
総合学習で訪れた小学生たち
ほっとできる場所 提供


 滋賀県が推進してきた地域福祉「あったかほーむ」の施策に添って、平成17年1月にオープン。築80年の木造瓦ぶき中2階の民家で、床面積155平方メートル。8―4畳の計5室。風呂、トイレ、水回りを改修しただけで、以前の住まいを多く残し、あったかい環境。

 「当初は、人が来てくれる場になるだろうか?」と同センター関係者が心配したが、初日から満員の盛況。今年7月までの利用者は約13200人。1日平均19人。世代別では、こども23%、大人34%、高齢者43%で、まんべんなく利用されている。

 開業は、月―金曜の午前10時から午後4時。好きな時に来て、好きなことをするという気楽な構え。月例で健康教室、音楽教室、月替わりのイベントや、年間3、4回の子育て講座などを催している。

 近くの坂本小学校では6年生が総合学習として、5、6人ずつ毎週、同センターを訪れている。お年寄りの話を聞いたり、音楽サークルの合奏に飛び入りしたり、裏庭の草を引くなど、この家の日常に即した研修を受けている。

 また「逆デイサービス」という利用法が珍しい。これは真盛園が営む老人ホームに居住する高齢者が、週1回、施設から民家へ訪問するもの。近くで仕入れた食材持参で来たお年寄りが食事を作ったり、畳の間に寝ころんだりと懐かしい家をしのんでいる。

 同家には地元採用のコーディネーター2人が常駐。多くの利用者に顔なじみという上に、エプロンをつけた主婦というアットホームな対応ぶりで、これまでの施設、集会所や公民館とは一味違っているのが特色だ。その2人が毎日、昼食(500円、20食)を手作りし、利用者に提供している。付近で働く人や一人暮らしの人などにも人気がある。

幅広い世代に人気


 このほか土日の週末や夜間の空き時間を有料(1日1000円)で貸している。会合や宴会、老人会の催しや中高生グループの試験前の勉強まで利用されている。また、この家で知り合った人たちが楽団を結成し、あちこちへボランティア出演するなど地域交流の成果も生んでいる。

 同センター管理者の海岸秀さんは「この家は普通の家をそっくり生かしています。ここへ来ると、ほっとする。楽になる、と思えます。地域のみなさんに歓迎されているのが一番です」と語っているが、公的助成が外れた今後の財政をどう維持するか? ただ一つの悩みに直面している。

<メモ>社会福祉法人真盛園地域交流センター「老いも若きも」
大津市坂本6ノ29ノ12 TEL.077(579)8687