ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


ぽてとファーム事業団


 設立から20周年を迎えた社会福祉法人ぽてとファーム事業団(長浜市)は、今年、障害者自立支援法による「就労継続支援A型」への移行や大規模な事業所用地・建物の取得など新たな進展を見せた。湖北の旧浅井町でジャガイモ栽培を試みた6人の熱意から始まった障害者の地域福祉の芽が、20年の歳月をかけて、ようやく成人し、自立を目指す成長の姿を見せている。

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印刷会社からの業務委託の仕事をする
ぽてとファーム事業団の人たち
自立へ 就労支援着実に 印刷、ゆば…展開多角
 設立から20周年を迎えた社会福祉法人ぽてとファーム事業団(長浜市)は、今年、障害者自立支援法による「就労継続支援A型」への移行や大規模な事業所用地・建物の取得など新たな進展を見せた。湖北の旧浅井町でジャガイモ栽培を試みた6人の熱意から始まった障害者の地域福祉の芽が、20年の歳月をかけて、ようやく成人し、自立を目指す成長の姿を見せている。

 同事業団は、現在、長浜市内を主として、最初の小規模通所授産施設のぽてとファームのほか、かぼちゃランド共働作業所(1997年設立)、みどりのフライパン障害者就労センター(99年設立)の作業所3カ所、生活支援施設の生活ホーム、ケアホーム計2カ所と居宅介護の「アシストセンターぽッ」を設けている。

 現在、障害者32人はじめ就労・生活支援のスタッフ、職員を合わせて総勢50人。当初に比べて、規模を着実に拡大し、多角的に発展してきている。

 今年、地元の金融機関のあっせんで取得した新たな用地(同市森町)は面積が約3200平方メートル、2階建て建物の床面積が1320平方メートルと大工場並みの広さ。通常見られる福祉施設とは違ったスケールを誇っている。もともとは建設会社の用地、建物だったが、その会社が倒産した後、運良く福祉施設として再活用されている。

 この新天地にかぼちゃランドとみどりのフライパンが入所。かぼちゃは障害者10人に支援員1人で、印刷の版下製作、法人関連の会計・事務処理の仕事を手掛けている。また、みどりのフライパンは障害者10人に就労支援員2人で、印刷会社の業務委託を引き受けている。地続きで隣接する明文舎印刷商事と連携し、印刷部材の加工、箱詰めや保管・管理などを受託。互いのコミュニケーションや作業打ち合わせなど、この上ない立地上の強みを生かしている。そこから、10月には滋賀県内3番目の就労継続支援A型へ移行している。自立支援法の主要な目標の1つである就労支援。就労継続支援のA型は、雇用契約を結んで最低賃金など労働基準法を順守するもので、全国的にもこのハードルをクリアすることは容易ではない現状。

 一方のぽてとファームでは、ゆば製品の業務委託を受け、提携先の工場で仕事と自社での作業の二系列が動いている。

 同事業団代表の佐野武和さんは設立当初からのメンバー。身体障害があり、車いすを使っている。「1年前から提携していた印刷会社の隣に新たな用地を取得でき、いいコラボレーションが実現できたのは幸運でした。就労とその報酬による自立へ、一歩踏み出せた」と感慨深い。また「今後、新規の仕事を開拓し、事業団の運営を安定化させるとともに障害者のリーダー、後継者を育成していきたい」と課題を掲げている。

<メモ>社会福祉法人ぽてとファーム事業団
長浜市神照町277ノ2 TEL.0749(68)0171