ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


特定非営利活動法人ひだまり


 滋賀県湖北の女性たちがつくった特定非営利活動法人(NPO法人)「ひだまり」が、米原市一色の古い民家を改修して宅老・宅児所を開いて4年半。近隣の人たちから、しだいに受け入れられて、お年寄りから幼児まで集まる心温かいホームを築いている。「地域の人たちが自分らしく生きつづけることを支援する」―小規模ながらも、多機能で頼りがいのある拠点へ育っている。

写真
大部屋で職員とともに体操をする利用者たち
多機能 大家族の温かさ 民家で「宅老・宅児所」
 民家の広間には、高齢者のほか女性職員や幼児まで交じって大家族のよう。隅のベッドに休む人、職員の指導で体操やゲームをする人たち、傍らでは食事準備の職員まで、和気あいあいの空間。大規模な介護施設では、とうてい見られない、普段の生活がそのまま延長したような環境だ。

 長浜市の看護師の永田かおりさんら友人、知人など10人が市民福祉に取り組もう、と2003(平成15)年、NPO法人を立ち上げた。設立前から子どもを預かるなどの活動に取り組んだが、結局、介護保険によるデイサービスに行き着いた。そのための拠点探しの末、現在の借家を探しあてたという。

 最近は、大規模な施設での介護サービスが主流を占める中で、民家利用は湖北では初の試み。築37年の平屋を改修し、48平方メートルの広間はじめ台所、風呂や10畳強のこども部屋を整えた。

 定員15人の通所介護と健常児を預かることからスタートした。ところが、付近では見慣れぬ小規模施設だけに、最初の1年は「全然、相手にされず、2年目からようやく増えだし、3年目で軌道に乗った」と永田さんは振り返る。今では連日、満員に近く、すっかり地域になじんでいる。

 この間、職員が近くで障害のある就学前の幼児と触れ合う機会があり、04年春から障害児デイサービス事業を追加した。翌年にはデイサービスから障害児短期入所事業へ切り替え、次いで一昨年から障害者自立支援法の改正に伴い、日中一時支援事業へと移行している。これは周辺地域では貴重な取り組みのため、現在の利用登録者が40人に達している。

 一方、デイサービスでは、開所2年目から夜間の泊まり介護を始めている。これは一時、滋賀県の「24時間安心システム」制にのったが、それが中止された今も自主事業として継続。同利用は月間で最多が11回、平均3、4回の実績。さらに通常のサービス時間(午前9時―午後3時半)も、家族の勤務時間などに合わせて延長できるようになっている。

 ホームの特色としては地元のボランティア10人が手助けするほか家主さんが庭先の畑で野菜類を栽培して、昼食用に提供するなど身近な協力が見られる。また地域との交わりを大事にするため月1回の便りを回覧したり、家族・利用者向けだった秋祭りを地域に開放するなど努力している。

 管理者の永田さんは「地域のみなさんと一緒に、どう生きていくか、考えていきたい。その介護の中の『ひだまり』になれたらと願っています」と話している。



<メモ>特定非営利活動法人ひだまり
米原市一色458ノ2 TEL0749(54)2277