ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


パソコンボランティア能登川 和ねっと


 滋賀県東近江市のパソコンボランティア能登川 和(やわらぎ)ねっとは、設立から丸6年で会員46人を擁し、パソコンを通じたボランティア活動を活発に推進している。障害者や高齢者に、新しいツールの利用を呼びかけ、それを通して生きがいを感じてもらったり、社会参加への支援を図っている。会員たちは現役時代に培ったパソコン技術を再び生かし、新時代の寺子屋のような和やかな講座を開いている。

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マンツーマンのような豊富な講師スタッフとともに開かれる和ねっとのパソコン講座
和やか 新時代の「寺小屋」
 始まりは2001年、当時の能登川社会福祉協議会主催のボランティア養成講座を修了した8人が集まり、和ねっとを立ち上げた。この養成講座は昨秋の第10期までで計80人が受講。今では同ねっとが運営し、会員増強へつなげている。

 現在、開いている講座は、障害者対象が旧能登川町で週2回、湖南市で月2回。高齢者対象が同町と八日市で月2回ずつ。それに訪問指導を月2回行っている。定員は15人前後で、ホームグラウンドの東近江市福祉センター水車野園では、毎回十数人が受講し、講師とサブ講師7、8人から10人が付き、マンツーマンに近い手厚い指導が最大の特色。その上、手作りテキストで全員の進み方に配慮し、欠席した人があれば、そこまで戻って講義するなど丁寧さも自慢だ。

 3年前から高齢者対象の「60代から始めるPC講座」という入門講座を開いている。これまでの講座では文字入力から年賀はがき、名刺作成、エクセルの応用、カレンダー作成から表計算やアルバム作りなど実用的で、なじみやすい内容。

 会員にはプロ級の人まで混じっていて、それぞれ得意な分野を教え合うスキルアップ講習会を月1回開くなど研さんも怠らない。

経験生かし 高齢者ら指導
 受講生の1人、山川健治さん(66)は、5年前、脳出血で半身不随となり、ペンを持てない身となった。そこで同講座を受講し始め、今ではパソコンで年賀状を書いたり、電子メールのやりとりまでできるようになった。「他の講座ではついていけないけど、ここは遅れても教えてくれる。そのうえ仲間ができ、気晴らしになる」と生きがいを見いだしている。

 ボランティアの1人、臼田善律さん(68)は「ハンディを持つ人たちが、生き生きと活動されている姿に驚き、教える方も力が入る。自分のライフワークの一つになってきました」と手応え十分。また団塊の世代の曽根尚義さん(63)は「現役時代は単身赴任が長く、地域については知らないことばかりだった。定年後この会に加わって、いろんな人と付き合いができて楽しい」と、第二の人生を築いている。

 脇真澄会長(66)は「幸いにも講師陣を数多く確保できていて、習う人が分かるまで待つことができます」といい、事務局担当の南川敏子さん(46)は「教える方と習う方とに垣根がなく、ほっこりできる講座なんです」と語っている。


<メモ>パソコンボランティア能登川 和ねっと
東近江市乙女浜町586、脇さん方 TEL0748(45)0077