ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


衣川台オアシス


 大津市内の新興住宅地で定年退職を控えたサラリーマン夫妻らが、あらためて自分たちの住む町に目を向けて7年前から住民活動を続けている。これが地域ボランティア団体、衣川台オアシス。住民同士、互いに話し合い、憩える場があったら―との思いから、町内の自治会館を利用して週1回のおしゃべりサロンを運営。この場での出会いから、ボランティアや趣味のグループが生まれるなど、地域の活性化を促進している。

写真
懐かしい古い歌を電子楽器の伴奏で歌い、
楽しむ衣川台オアシスの利用者たち
わが町見直し活性化 交流広げる憩いの場
 衣川台団地は、1974年のJR湖西線の開通に合わせて沿線に開発された。現在、370世帯。約1200人が在住。造成以来、30年以上を経て、住民の半数が50歳以上となり、高齢化が進み出している。

 設立に参加したのはサラリーマンの夫妻ら15人。地域活動について話し合う中で、町内を散歩する途中に、ふと立ち寄れて休憩する場があれば、という声が、おしゃべりサロン設置への、きっかけとなったという。

 同サロンは、毎週木曜日午前10時から午後4時まで、町内の自治会館で開いている。男女、年齢を問わず、だれでも参加できる。お茶と菓子とともに自由におしゃべりする。同時にエアロビクスや歌謡、手芸など趣味の教室や講演など組み合わせる。そのほか希望によって近くのスーパーなどへの買いものへ車で送迎したり、近くの福祉浴場への送迎などの支援をしている。毎回の利用者は昨年度で平均25人。

 運営は世話人17人のほか協力者、賛同者が5人、講師4人と手厚い陣容。世話人は、民生児童委員や看護師、ホームヘルパー資格者など多彩なメンバーで、サロン当番や送迎など役割を分担。さらに毎月1回の例会では、実施した催しの反省や今後の予定など打ち合わせている。その間、運営費の一部とするためアルミ缶のリサイクル回収も行っている。

 サロンで出会った人たちが近くの公園や古墳などの清掃・除草活動をするグループやエアロビクス同好会などを新たに結成し、地域活動の広がりの源泉となってもいる。

 サロン利用者で最高齢、百歳超の山城すみさんは「毎週、ここに来るのが楽しみです。顔なじみの人に会って、話を聞いているだけでもいいんです」。また坂本次夫さん(81)は「家でテレビを見てるより、ここで歌を歌ったり、体操したり、話をしたり、楽しいですよ」と元気に話す。

 ボランティアの手芸講師の圓尾明子さんは「みなさんは手芸を覚え、編むのが早いですよ」その元気さに負けないようにと、こちらに希望が湧いてきます」という手応え。世話人代表の田中正彦さんは「現役の会社勤めの時は、地元とのつながりが乏しかったんですが、退職後、すぐさまオアシスの会に飛び込みました。自分の親を含めて、年々、高齢化が進んでいくので、会の必要性はますます高まります。新規の事業を含めて一層、充実、満足感のあるよう努めたいです」と語っている。


<メモ>衣川台オアシス
大津市衣川2ノ10ノ22 TEL.077(573)3230 田中さん