ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
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京都ケアドッグステーション


 身体に障害のある人の日常生活を助ける介助犬は、全国的にもまだその数が少ない。長岡京市にあるNPO法人(特定非営利活動法人)京都ケアドッグステーション(長谷川佳子理事長)は、障害者から求められている介助犬の育成に専門的に取り組んでいる。子どもやお年寄りへのふれあいボランティアの活動も通して、介助犬への広い理解を求めている。

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身体に障害ある人を補助する介助犬はまだ少なく、
育成が望まれている(長岡京市)
身障者の日常生活支援 介助犬の育成が専門

 先月24日、京都ケアドッグステーションに朗報が届いた。同ステーションが育成しているアーク(ラブラドルレトリバー、雄2歳)が、兵庫県立リハビリテーションセンターで行われた介助犬の認定試験に合格したという通知があったのだ。同ステーションが育成した介助犬としては3匹目。アークは、京都府の車いすを使っている男性に貸与される予定になっている。

 介助犬は、身体の不自由な人のために、手足となって日常生活の動作を助ける。障害者一人一人によって必要とする補助動作の内容が違うため、使用する障害者に合わせて特別なトレーニングをする。

 同ステーション第1号のたんぽぽ(ラブラドルレトリバー、雌3歳)は現在、徳島県の色鉛筆画家の暮らしを助けている。介助犬を使うのに際し、床に落とした鉛筆を拾ってほしい、冷蔵庫から飲み物を取ってきてほしい、外出時に店などの扉を開けてほしい―などの希望があった。

 訓練は、人の横について歩くなどの基礎訓練、小さな物を拾う、服を脱がす、扉を開けるなどの介助動作訓練、使用者と一緒に、補助を望む動作を覚えさす合同訓練を計220日以上行う。訓練には、訓練士のほか作業療法士、理学療法士などの専門家も加わっている。

 この介助犬は、現在全国でまだ39匹。盲導犬が1000匹近くいるのに比べ、まだまだ少ないのが実情だ。

 京都ケアドッグステーションは、こうした介助犬の育成、普及を目的に2003年に設立した。理事長の長谷川さんの夫が長く警察犬の訓練士をしてきたことから、その訓練技術を生かして障害のある人たちに役立ちたいと考えてのことだった。介助犬の育成には多額の費用がかかる。費用のうち半額は自治体の育成事業補助があるが、残りは会員の会費や募金、寄付でまかなっている。

 同ステーションでは、講演やイベントでの実演、老人ホームなどの施設、学校で、介助犬について知ってもらう活動も積極的にしている。犬と遊んだり、ふれあう中で、お年寄りや子どもたちに、笑顔や明るい声が見られるなどの効果があるという。

 長谷川さんは「介助犬育成には時間がかかりますが、障害のある人の生活が楽になるように、1匹でも多く育てたい。そして将来は、障害者が介助犬を連れて働けるドッグカフェのような場所もつりたい」と、目標を語っている。


<メモ>京都ケアドッグステーション
長岡京市友岡西畑25 TEL.075(953)1884