ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


特定非営利活動法人ふれあいセンター「そよ風」


 高齢者や障害者が住み慣れた地域で安心して暮らせることを目的として7年前、湖南市で設立された特定非営利活動法人(NPO法人)ふれあいセンター「そよ風」。地元の自治会役員や保健師、地方公務員、保母、主婦らが集まって、地域福祉に取り組んでいる。介護保険による通所介護事業を手始めに訪問介護、グループホーム設立から滋賀県単独の地域ファミリーステーション事業まで手がけ、地域の新拠点に育っている。

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スタッフとともに健康体操をする利用者たち
民家を利用し生活支援 その人らしい暮らしを

 そのきっかけは、8年前に甲賀・湖南人権センター主催の福祉研究会に参加した人などが、引き続いて高齢者社会での地域の役割について勉強会を開催。ついで週1回の健康な老人の居場所つくりのためのボランティア活動に踏みだすとともにNPO設立へと進んできた。

 その間、地元の湖南市吉永区の協力により介護事業所用として空き家を確保し、平成14年初めに、通所介護事業所「大空」を開設した。民家を改修して小規模ながら家庭的な雰囲気のなかで、その人らしい暮らしができるよう支援するのが基本。定員10人。月曜から土曜日まで、午前9時から午後4時までの営業。開業当初の半年ほどは、通所サービスを受ける人は少なかったものの、しだいに口コミで広がり、利用者が増加した。今では認知症高齢者や難病疾患をもつ人、心の病気のある人など幅広く受け入れている。続いて同年末には訪問介護事業「大空」を設立。スタッフ10人が月曜から土曜まで通年(年末・年始を除く)で活動している。

 その後、認知症の進行を緩やかにし、また家族との意思疎通の継続を図るケアの必要性を検討した末、翌15年秋には、新興住宅街の一角を利用してグループホーム「大空」を立ち上げた。定員は6人。近隣のボランティアを含めて約20人のスタッフが、日常生活の全般を支援している。

 このグループホームの向かい側の別棟民家で、県の地域づくり施策「あったかほーむ事業」も開業。お年寄りからこども、子育て中の母子や障害者など幅広く住民が集い、憩える場を提供。さらに、湖南市の委託により同所で高齢者に向けた生きがいデイサービス事業にも着手した。

 次々と福祉資源を整える「そよ風」。会員は当初の15人から50人に増加しているが、主要メンバーの一人、保健師平井初美さんは「最初のデイサービスから連なった形で、地域の必要に対応してきただけなんです」と説明する。同時に両親を介護した経験を生かしたい、との思いが重なっている。夫で理事長の和夫さんは退職後の5年間でケアマネジャー資格や送迎用に自動車の二種免許の取得に追われながら「入浴介護、掃除や送迎など、なんでもやっています。かつてない高齢社会の現場で働くのは生き甲斐があり、楽しいですよ」と元気いっぱいだ。高齢者もこどもも、子育て中の母親も、障害者も含めてみんなが住み慣れた地域で安心して暮らせる町へ。「そよ風」が掲げる町づくりの目標である。


<メモ>特定非営利活動法人ふれあいセンター「そよ風」
湖南市吉永170ノ4 TEL.0748(71)4330