ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


NPO法人 京都でてこいランド


 緑豊かな林と広場をはさんで向かい合ってガラス張りの建物がある。内部はすべてバリアフリースペースだ。平屋建てだが天井が高い。部屋の中からも外の景色が十分に楽しめる。1999年に完成し、「NPO法人(特定非営利活動法人)京都でてこいランド」の拠点となってきた。

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開放的な施設を利用して豊かな自然とふれあう
自然満喫 心の垣根解消 イベント盛ん宿泊も

 広場ではちょうど敷地内や周辺で採ってきた山菜を、てんぷらなどに調理して楽しむ「山菜まつり」が開かれていた。子ども連れでやってきたグループもあれば車いすの人もいる。

 代表の神鳥基代子さん(66)は「心身にハンディのあるなしにかかわらず、のびのび過ごせてほっこりできるところ、心のバリアもなくすところです」と、でてこいランドの目的を話す。

 でてこいランドの名をもつ施設は長崎と北海道にもある。最も早く1990年にオープンした長崎でてこいランドを神鳥さんらが利用した。それが京都でてこいランド誕生のきっかけとなる。同じような施設をつくりたいと、神鳥さんら発起人5人で「つくろう会」を結成した。

 多くのボランティアが参加し、テレホンカードやTシャツの製作、コンサートの開催などの活動を展開し、環境に優しい施設にしたいと稼動している太陽光発電所「サンサンでてこい発電所」も含めて、広く市民から集めた資金で建設することができた。

 現在運営委員長を務める中野茂樹さん(42)や経理を担当する山田照雄さん(66)は「スタート時には苦しいこともあったが、ゼロからこの施設をつくりだすことで強い仲間意識が生まれた」と振り返る。

 京都でてこいランドの会員や利用者は京都市内の人が中心で、当初地元との関係は薄かった。だが、イノシシ除けの柵作りを一緒に行うことで交流が生まれる。地域の人から譲られた鶏舎を利用した「ものづくり館」も誕生した。広い農地を借り受けてのクリ拾い、野菜作りのほか、もちつき大会など四季のイベントも盛んだ。

 JR山陰線下山駅にほど近い立地は豊かな自然に恵まれ、年間約1千人がやってくる。オープンしているのは土、日曜日と祝日だけだが、宿泊することもできる。利用料は、寝具代を含んで大人1800円(賛助会員は1500円)、日帰り利用は大人300円など。宿泊できるのは、土曜日と連休日の前日で10日前までの予約が必要だ。

 昨年行った利用者へのアンケート調査では、「空いっぱいの星と温かみのある明かりの部屋に癒された」「緩やかで寛容な雰囲気が気に入った」など好意的な意見が寄せられた。会費と利用収入だけが頼りのため、土日、祝日以外は開けられないが、他からの支援に頼らない堅実さが会員の誇りでもある。これからもしっかりとした足取りを堅持する方針だ。


<メモ>NPO法人 京都でてこいランド
京都府船井郡京丹波町下山土淵61ノ7 TEL.0771(83)1180