ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


NPO「とんかち」


 日曜大工を趣味にしたり、あるいは一度やってみたいと考えている人は多い。そんな人たちが八幡市社会福祉協議会が開いた日曜大工ボランティア講座にやってきた。参加者は60人ほどだったが、うち数人が、なにか地域のためにできないかと集まった。これが1997年に誕生した日曜大工ボランティアグループ「とんかち」だ。

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地元のお寺で竹垣作りに励む会員
ものづくりで地域連携 ボランティア養成も

 初めのころは社会福祉協議会経由で依頼を受け、高齢者や体が不自由な人の自宅に行って棚をつけたり、いすを作ったりした。そのうち、八幡市内の小学校で工作教室を開いたり、一般の人からいすや机を作ってと頼まれるようになる。活動の場が広がったことを受け、2005年、もっと地域の要望に応えたいとNPO法人(特定非営利活動法人)となった。

 現在会員は26人、ほとんどが定年退職した男性だ。年齢は56歳から77歳まで、平均年齢は70歳に達する。しかし意欲は若者に負けていない。

 昨年は京都府の地域力再生プロジェクト事業に加わり、地元の放置竹林約800平方メートルの整備に取り組んだ。竹垣や長いす作りなど竹材の有効な利用法の研究もしている。地域社会との連携を図ろうと団塊世代に参加してもらう「生きがいワーカーズ教室」を開き、ボランティアの養成も目指している。

 子供たちとの交流も拡大した。木工教室にとどまらず、そうめん流しやたこ作り、もちつき大会を行って、食器やはしを竹で手作りし、竹と遊ぶ感覚で親しむイベントも盛り上げた。

 会員がそれぞれの得意技を発揮して、ものづくりの喜びを求める「一人一品運動」も展開している。竹のジョッキやお皿、花器をはじめ、便座付きいす、たんすと天井の間に設置する「すきま家具」、間伐木材を使ったベンチといったオリジナル商品を会員が開発し、好評を得ているという。

 理事長の森嘉門さん(75)、副理事長の小村旭さん(63)は、「会員はお互いのサラリーマン時代の肩書を知らないんです。知る必要がない。自由な人と人のつながりが本当に大きな財産です」という。「好きなことをやる。そして社会奉仕になる。これは健康にいいと心から実感しています」と森さんは元気いっぱいだ。

 「地域に仲間ができたことが大きいです。ものづくりの発表の場があり、地域の人から感謝されたりもします。こんなことは家にじっとしていては体験できません。生きがいになっています」と小村さん。竹林や公園の整備事業では行政側から寄せられる期待も強い。森さんも小村さんも、もっといろんな事業にチャレンジしたいと意欲を見せる。


<メモ>NPO「とんかち」
作業場所・八幡市男山笹谷2番地、八幡市福祉センター内 
TEL.075(981)8383(土、日曜午前中)
連絡先TEL.075(981)0713=森さん