ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


日野町レクリエーション協会とんぼ


 レクリエーションといえば、健康な人を対象にしたものが目につきがちだが、滋賀県の「日野町レクリエーション協会とんぼ」は、県内で一早く、高齢者や障害のある人たちに向けた福祉レクリエーションに取り組んでいる。高齢化社会に備えて、スポーツ・レクリエーションによる住民の健康活力増進を、と平成4年に発足。以来、地域に密着した活動とともに、今では同町の福祉的催しには欠かせない役割を果たしている。

写真
全員手製で仕上げた衣装で
花笠踊りを練習する会員たち
特技生かして健康増進 来場者の喜びやりがい

 現在、会員は20人。昨年度の活動は、東近江地区から県内各地に及び、年間60回に上り、毎週のように出動している。主な活動分野は、高齢福祉活動、健康体力づくり、青少年・子ども会の活動、地域活動、各種サロン、高校生のボランティア活動、音楽療法などに及んでいる。

 会員たちは、催しの規模、内容に見合って参加する。たとえば、日野町各地区の代表選手7〜800人が参加する年1回のシルバースポーツ大会は、同会の企画・運営とともに会員全員参加で対応するのをはじめ、地元仏教会のお花まつりに7人、健康サポーター養成講座に5人、また日野町のサマースクールに5人と、参加数もさまざま。いずれもマイカーに乗り合い、駆けつける。

 この中で、毎月の定例会と勉強会を各1回、続けている。定例会では依頼されたイベントの企画検討のほか打ち合わせや協議など行い、勉強会は新しい出し物の開発とともに練習にあてている。

 事務局長の蒲生洋子さん(55)は設立以来のメンバーで、自分の子どもと一緒に受けたレクリエーション研修会がきっかけとなり、今では福祉レクリエーションワーカーなどの有資格者。「楽しいものなら、何でも採り入れるのが、とんぼの特色です。その上、催しの参加者に見合って、臨機応変にやり方を変えていくんです」と豊富な体験が強み。

 高橋雅子副会長(72)は元中学校の体育教諭で、スポーツのほか日舞が特技。近ごろ、最も高い人気を呼ぶマツケンサンバのリーダー格。「いろんな場で、お年寄りから障害のある人などに出会いながら、相手に添って工夫をし、そこから吸収することは豊かで、楽しい。自分の生きがいになっています」と語る。

 福祉施設で働く杉本重剛さん(35)は「南京玉すだれやゲームなど出しものの技よりも、現場ごとに来場者の心を引きつける技法を、この会で学ぶことができ、そこを身につけたいんです」と言う。また入会2年目の岩崎百合子さん(50)は「私はなにも芸がなかったのですが、教えてもらった通りに踊ったり、歌ったりすると、それを見て喜んでもらえます。やってよかったと実感します」と手応えを語る。

 中川良男会長(76)は「それぞれに持っている特技を大事に育てながら、この会の踊りや紙芝居、ゲームを、もう1回見たい、やってみたいと、望まれるようになれたら」と、実践の目標をとらえている。


<メモ>日野町レクリエーション協会とんぼ
滋賀県蒲生郡日野町内池252ノ1、中川良男さん宅
TEL.0748(52)2041