ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


「ふれあい給食」グループ


 滋賀県湖南市では、1人暮らしの高齢者へ、月2回の給食サービスが、20年以上前から始まり、すっかり定着している。この担い手は、地域のボランティア「ふれあい給食」グループだ。ボランティアたちは弁当を手作りし、温かいうちに1人ずつに配達、お年寄りに必ず手渡しする。その際に、安否を確認する。温かなサービスと安全をセットする方式とともに地域住民の力を集めて、安心して住める町を支えている。

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一人暮らしの高齢者向けに
弁当を手作りする会員たち
安否確認で安心も「配達」高齢者宅に暖か弁当

 湖南市社会福祉協議が、21年前、独居高齢者の安否を確かめる給食サービスを提唱。その協力者を募って、「ふれあい給食」グループを結成。以来、市内のおおむね70歳以上を対象とし、昼食弁当(現在64食)を届け続けている。

 グループは調理のA、Bの2班と配達グループから成っている。調理班は、月1回ずつ交代する当番制で、各十数人が所属。一方の配達グループは17人で、毎回、10人前後がマイカーを利用し、各戸を回る。

 管理栄養士が作った献立に従って、調理班は食材の買い出しから、調理、詰め合わせまでを手がけている。朝、8時過ぎに市社会福祉センターの調理室に集まり、エプロン、帽子、手袋着用と衛生管理に配慮している。

 最近のメニュー例では、ご飯、サンマのムニエル、大学いも、なすのごまあえ、デザートにナシとケーキ。このうちケーキだけは、ケーキ作りの会「マーガレット」が提供している。

 調理室では、会員たちが手分けして、和やかに声を掛けあって、分担作業を進めていく。できあがった弁当は、配達担当へ、すぐさま引き継がれる。「温かいうちに届けよう」と、あたふたと車が発進していく。

 また、夏季には、市内の中高校生のボランティア体験を引き受け、料理作りから配達までを実習している。ことしは延べ16人が参加し、その1人が「お弁当とケーキを手にとって喜んでくださるお年寄りの顔を見て、うれしかった」と感想文を残している。

 調理グループの前代表、浮田千草さんは「友人に誘われたのがきっかけで、参加したんですが、いろんなメニューを覚えることができるし、また仲間となごやかに働けるので、続けています」と話す。

 会員は女性が多数派だが、地域公民館の男性向け料理講座を終了した人や元調理人など男性も交じっている。元プロの調理人、太田正俊さん(70)は中華料理店などで長年働いてきたが「ここでも調理経験が役立つことがあり、今なお料理は楽しいです」と、往年の腕を再活用している。

 配達グループ代表の高橋正雄さん(66)は定年後、回りから声が掛かって、4年前、ボランティアに加わった。「グループ員同士で、事情をよく知った地区を分担するようにしています。配達先のお年寄りの元気な姿を見ると、ほっとします」と話す。

 温かな昼弁当の配達とともに身近で周到な見守り。地域ならではの行き届いたサービス網が万全だ。

<メモ>独居高齢者給食サービス「ふれあい給食」
湖南市中央1ノ1 TEL.0748(72)1523 湖南市ボランティアセンター