京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●UP 地域の力
京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や 宮津美しさ探検隊
代表の永久徹さん(60)は宮津で生まれ育った。東京で仕事をしていたが、13年前に帰郷した。「探検隊に加わって、いろんなところを歩いてみると、出身者の自分も知らなかったことばかりでした。新たな発見、これが面白い。だから活動が続いてきたと思います」。
探検隊は、もともと宮津市主導で始まった。2001年、「美しさからの町づくり」を目指して、市内各地域の自慢の場所の発掘を呼びかけたところ、市民から645件もが寄せられたという。この盛り上がりを一過性にはしたくないと考えた市民有志が運営委員を引き受け、住民主導による探検隊として活動を続けてきた。
「探検」は市民から寄せられた情報をもとに、月に1、2カ所のペースで行われる。同じところを日曜日と水曜日の2回訪れるのを原則にしている。勤めを持っている人が参加しやすい休日と主婦らが参加しやすいウイークデーの2日間開催することで、幅広い層の参加者を得るのが狙いだ。案内役はその場所をよく知る地元の人が務め、参加者は一緒に歩きながら説明を聞く。これは本当に各地域で受け継がれてきた「ほんもの」を重視するからだという。 探検の結果は、情報紙「どこどこ」に掲載され、宮津市内の各戸に配布される。探検隊ではホームページも開設しており、過去に発行された情報紙のすべてを見ることができる。また2005年には、調査した160カ所をまとめた「新・宮津風土記」を発刊した。宮津のことがよく分かると、宮津出身者にも好評だった。 このほかにも、日本三景の一つ「天橋立」が、有名な松並木だけでなく草花にも恵まれていることに着目した散策ガイド「天橋立花めぐり」も編集・発行している。今も街角にひっそりと息づくお地蔵さんをくまなく調べた「お地蔵さまめぐりあいマップ」、史跡や文化財を説明した駒札を集めた「駒札めぐり」なども企画・制作した。 副代表で宮津市林業研究会長でもある上家透さん(80)は、上宮津地区にある天然杉の森の保存を探検隊の活動を通して訴えている。「樹齢300年から400年以上の天然杉が身近に見られるのは、全国的にみても貴重なものです。市民はじめ多くの人に知ってもらいたい」と期待する。副代表の山下よし子さん(60)は「あらためて宮津が見えてきた気がして、楽しく活動を続けています。宮津の本当の素晴らしさを外部の多くの人に向かって紹介したい」、理事の田和敏男さん(67)は「今まで目にとまらなかった小さな神社に深い歴史があることを知り、もっと勉強したいと思いました」と話す。 事務局をあずかる永久佳子さん(58)は家庭の生ごみから作った堆肥(たいひ)で花壇作りをするなど環境を考える活動も続けている。永久代表は「みんなが足で歩いて確認する地道な積み重ねで多くの地域の宝を発掘できた。この成果を、末永く持続できる地域づくりに役立てていくことが課題です。新しい形のエコツーリズムなどにつなげられないか」と活動の幅を広げる考えだ。
<メモ>宮津美しさ探検隊
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