ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
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守山琵琶湖よし笛アンサンブル


 琵琶湖産のヨシから作られたよし笛。在来の竹笛やフルートとは、ひときわ異なった、清らかに澄みわたった音色。さわさわと渡る風のような自然に由来する響きが、聞く人の心を癒やしている。7年前に発足した守山琵琶湖よし笛アンサンブルは、その演奏が歓迎され、ボランティア活動の依頼が、本年度は約50回に達するほどの人気ぶり。10年前、考案された新楽器よし笛が、湖国の風土に根差した音楽を奏でている。

写真
琵琶湖産のよし笛の音色を合わせて
演奏する会員たち
澄んだ音色交流広げる ヨシで多彩な楽器作り

 よし笛は、近江八幡市の菊井了さんが考案。西の湖のヨシを材料とし、竹製のマウスピースを装着した縦笛。口径12、3ミリ、長さ25センチに7穴。音域は1オクターブ半。

 守山アンサンブルは8年前、小津公民館が催した「よし笛講座」に参加した人たちが集まり、その翌年、結成されている。現在、会員は18人で、年齢層は40歳から70歳代まで。地元はもとより、彦根や栗東などから参加する人もある。いずれも、独特な音色に引かれたという。

 ソロやアンサンブル用のよし笛のほか、ヨシで作ったウインド・ベル、一音よし笛など創作楽器作りや、石、木、竹などを素材とする楽器とともに自然の音色を楽しむ演奏活動をしている。

 レパートリーは唱歌、ポップス、民謡など幅広い。

 創設以来、独特の合奏が広く受け入れられており、県内各地から演奏依頼が相次いでいる。出演先はたとえば、月1回、定例とするデイサービス施設のほか保育園から高校などの学校や、地域の敬老会、健康サロン、さらにはさまざまなイベントにまで及んでいる。

 滋賀県内のほか京都にもよし笛教室が既に生まれており、また今夏には大阪で「よし笛を吹く」体験講座が催されるなど、各地に広がりを見せている。

 月2回の練習日に集まった守山アンサンブルの会員たち。楽譜を前にしながら「よし笛を吹くと、気が晴れて、ストレス解消にぴったりです」という声が多く聞かれる。

 会員の村瀬孝夫さん(70)は菊井さんの指導とともによし笛を自作してもいるが、「笛は一本一本、自然素材なので、みんな違っています。それで穴の位置を微調整して正確な音程をとります。いい楽器ができるとうれしいですね」と、笑みがこぼれる。

 かつて高校で音楽を教えていた平本啓子さん(52)は「完成された楽器ではないので、みんなで奏法など工夫し、音程や音色を合わせていくのが、とても楽しいです。他の楽器の合奏とは違って、よし笛は聞き飽きることがなく、心地いいのが魅力です」という。

 また広実照美代表は「当初は演奏だけでしたが、近ごろはヨシをきっかけにして琵琶湖や環境問題などにも関心が広がり、そういった話を交えた依頼が増えています。よし笛を通じて会員同士の親睦(しんぼく)とともに地域の交流に役立てたらいいな、と思っています」と話している。

<メモ>守山琵琶湖よし笛アンサンブル
守山市金森町140ノ106 広実さん方 TEL.077(583)6579