ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


守山市男性ボランティアの会


 60歳以上で、そして男性だけというボランティア団体は、全国でも珍しいようだ。守山市男性ボランティアの会は、そのユニークさとともに、「身近にできることを、まず実行」を合言葉にして、多様に活動している。福祉施設での大工仕事や独居高齢者への生活支援、庭木のせん定、菜園の作業までさまざまに及び、「ボランティアの総合商社」を自負している。

写真
介護施設からの特注の木工製品を作る会員たち
さまざまなニーズに対応 会員の技術、特技生かし

 6年前、同市社会福祉協議会主催のボランティア養成講座に参加した有志16人が「受講だけでは終わらずに、なにかやろう」と、会を設立した。GAGという愛称があるが、Golden Age Groupの略。

 当初は公的な福祉施策にのらないすき間の仕事を埋めようと、福祉施設の草引き、エアコンのフィルターの掃除などをこつこつ続けた。その中で、口コミなどから仲間が次第に増えて、3年前から専門部会を設け、さまざまなニーズへ対応している。そのグループは大工、せん定、人、土、PCの5つ。人グループは独居老人支援、コーヒー・カラオケの出前など人的サービス、土グループは福祉施設の菜園の世話など土に関する作業、さらにPCグループはパソコンによるホームページ運営やビデオ作成などを担当している。現在、60人にのぼる会員は、それぞれ好みのグループに重複している人が多い。

 市社協に寄せられるさまざまなニーズに対応していくのが同グループの役割。たとえば独居老人宅などでの家具転倒防止事業はじめ、催し会場の設営、簡単な電気工事、文化財指定の邸宅のせん定や除草、出前講座やさまざまな相談まで引き受けるなど間口が広い。「会員が増えてきて、それぞれが、いろんな技術や特技をもち合わせています。住民ニーズに見合った技を持つ会員のリードとともに多くの人たちが寄って、知恵と工夫を集めて、なんとか依頼に対応できています」と辻村逓一会長は、多様なスキル活用という特色を説明する。

 同市の特別養護老人ホームゆいの里へは月1回、定例のボランティア。施設側からの依頼を受けて、10人ほどの大工グループが活躍する。持参の大工道具を使って、木材に採寸したり、電気工具で板材を削ったり、あるいはスプレーで塗装したりと、息のあった作業ぶり。元プロの大工さん、多田作雄さん(78)がベテランの腕を再活用して現場を仕切っている。「木工品を使ってもらうのだから、ボランティアであっても責任のある仕事をしなければ」と現役並みの心がけ。グループの一会員は「なにか社会に役立つことで、仲間と一緒に作業するのは楽しいものです。家に閉じこもったままの粗大ゴミよりも、ぼけ防止にもなります」と、活気に満ちた手応えだ。

 コンクリート造りで無機質になりがちな施設だが、ゆいの里のあちこちに、あんどん、ついたて、ベンチなど木工品が目立つ。「手作りのなので、どれも温かいんですよ」と掛谷寿香園長の顔がほころんでいる。

<メモ>守山市男性ボランティアの会
守山市下之郷町592ノ1、守山市社会福祉協議会内 TEL.077(583)2923