ともに生きる・福祉のページ
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京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
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里山歩きボランティア「山ぐり」


 山歩きとともに沿線のごみを拾う。趣味のスポーツと社会奉仕を結びつけたユニークな活動。滋賀県湖南市の里山歩きボランティア「山ぐり」は、そんな活動を続けて4年目に入っている。熟年世代を中心にしながら、「出入り自由、会費不要」と伸びやかな運営ぶりで、自分たちの健康維持・促進とボランティア達成の充実感が両輪のように、うまくかみ合っているようだ。

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例会の当日、軍手にビニール袋でゴミをあつめる「山ぐり」の会員たち
健康と社会奉仕を両立 出入り自由、会費不要

 3年前、同市ボランィアセンターが開いた「ボランティア講座」を受講した人の中から、山歩きとボランティアを兼ねたグループづくりが提案された。募集に応じた20数人が「山ぐり」を発足させた。

 月1回の山歩きを例会とし、春夏秋には遠征登山を加えている。出掛けた先の道端などのごみを拾うが、遠出の場合だけ、別の日に、地元でのごみ拾いの日を設けている。

 例会は、今月で計48回。今年は手近な里山の十二坊山(標高400メートル)、阿星山(693メートル)、太神山(600メートル)などを主にしながら、5月に御在所岳(三重)、9月は御岳山(長野)など本格登山を交えている。

 ごみ拾いの場所は例会計画とともに決定されていて、沿線の林道など道端から河川敷、公園、高齢者介護施設など公共施設の周辺に及んでいる。会員は登山用具のほかに軍手、トング、ポリ袋が必携で、山歩きの前後に全員総出でごみ集めに当たる。昨年度の収集分は計348キロ、本年度は計397キロと、前年度を既に超えている。集めたごみは各人が持ち帰り、処理する。その点では大型ごみの収集ができないが、これまで会員が見つけた分を市に通報、撤去の依頼などで協力している。

 山歩きの方は幸いにも登山歴豊富なベテラン2人がリーダーとして参加。山口賢次郎さんと草開勝彦さんは、いずれも40年以上、各地の山を経験したベテラン。山歩きの初心者らを含む会員たちはリュックの背負い方や歩き方など初歩から実地に習い、里山歩きから次第にレベルを上げている。

 会員の宮田英雄さんは「山に登るのは、たしかにえらい。汗びっしょりになった後、風呂に入ったときの喜び、晩酌のビールのうまいこと。例会の一日は本当に充実しています」と、熟年登山に目覚めている。

 また女性会員の1人は「年間計画が事前に知らされているので、日程を調整できて、参加しやすい。里山を歩いて、すごく元気になってきて、第二の人生と実感できます」と、歓迎している。

 リーダーの草開さんは「この会では、お互い年齢の話は禁句になっているほど。みんなが山歩きで健康になっています。毎日が青春です」と元気そのもの。

 「そんなに構えなくても、里歩きともに自然にボランティアができる。自由に気軽に地域活動に入れるのが、会の特色なんです」と稲垣トチ子代表は、飾り気のない運営ぶりを語っている。

<メモ>里山歩きボランティア「山ぐり」
湖南市中央1ノ1、湖南市ボランティアセンター内 TEL.0748(72)1523