ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


ONLY ONEの会


 発達障害の子どもたちによりよい育ちの場を、と京都市で2003年に結成された「ONLY ONEの会」。気軽に悩みが相談でき、情報が得られ、子どもたちが生き生きすごせたら―と母親たちの思いを集めた会という。以来、月1回の定例会や学習会、会報の発行や行政への働きかけなど懸命に活動している。この中で会員たちは共通の悩みを分かちあいながら、支援の輪の広がりをめざしている。

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クリスマス飾りを作りながら
月例会で話し合う会員たち
クリスマス飾りを作りながら月例会で話し合う会員たち

 この会の正式な名称は、「高機能自閉症・アスペルガー症候群及び周辺の発達障害 京都 親の会」。もともとは市児童福祉センターが開いている発達障害についての学習会に参加していた人たちが、親だけの会を立ち上げたのが始まり。

 当初、大半の母親たちは、子どもを育てるのに追われ、「やっと一日が過ぎた」と嘆くほど、悪戦苦闘の日々だったという。それが会の集まりへ参加すると、「自分だけではなく、同じ悩みを持つ」共感できる仲間を見いだし、話し合い、相談し、情報交換するなど交流を深めて「救われた」思いがした、と代表者中川徳子さんは振り返る。

 その後、04年には「発達障害者支援法」が制定され、社会的な支援が次第に整えられ、世の中の理解も進んできている。

 会員は最初、20数人に過ぎなかったが、年々増加し、現在250人。京都市内を主として、周辺の宇治、城陽、亀岡各市や滋賀、大阪、奈良などに及んでいる。

 主な活動の一つ、月例会には3、40人が参加。通常は親同士の話し合いが中心で、いくつかのグループに分かれて、身近で親身な相談の役割を兼ねている。ある会員は「すごく暗い気持ちで来ても、話し合っているうちに、助言通りに、一度やってみようかなと前向きになり、笑顔で帰れます」と実践的な手応えを話している。

 この定例会が第1木曜日と平日開催のため、参加できない人たちのためには2、3カ月に一度、日曜定例会を開いてもいる。また専門医師、研究者を招いての公開講座(京都府自閉症協会との共催)を年1回、学習会を年2、3回開催、さらに2カ月に1回、会報を発行。昨年11月の近刊で41号に達し、最新ニュースや活動予定、新刊書籍案内、シリーズ寄稿など豊かな情報を発信している。

 一方、府・市議会へ請願などの働きかけ、市教委への要望や懇談など対外的な活動も続けている。

 また、発達障害についての診断が普及し、早期発見・療育の体制が次第に整えられ、同時に情報も数多く得られる状況へ変わり、同会は新たな段階へ向かいつつあるようだ。中川さんは「子どもたちが小学校での特別支援教育を入り口として中高、大学などへ成長していくにつれ、青年期の問題、進路や就労、生活支援など課題が広がっています。どうしていったらいいのか。適切な取り組みを、会として模索しているところです」と現状を説明している。

<メモ>ONLY ONEの会
ペルル伏見桃山U―112号=中川さん方 TEL.075(603)2652