ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


特定非営利活動法人春日住民福祉協議会


 「日本一の助け合い」(堀田力さわやか福祉財団理事長)と評された京都市上京区の春日住民福祉協議会。京都御所の東側に沿う学区に、明治初期、町衆たちが建設した春日小学校の跡地に拠点を構えている。同協議会は、全国でいち早く福祉の町づくりを実践し、モデル地域として全国的に注目されているが、近年では「自治・福祉・防災の三位一体」という、地域福祉の活動に新たな視点を唱えている。

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春日デイケアセンター「ふれあい料理」で
ボランティアとともに和菓子を作る参加者たち
安心のまちへきめ細かく 災害に備え地図も発行

 1973年、住民参加により地域活性化を図るため同協議会が発足。翌年、高層ビル建築計画に対して住民たちは町づくりへの関心を高め、ついで79年、一人暮らしの身体障害者の焼死という災害をきっかけに一人一人の防災、福祉を、との目線を確かめる。

 発足以来、毎月発行する機関誌「春日だより」の近刊が、実に400号。1150世帯、約2500人へ配布している。学区の福祉関連の情報、行事予定約30件を収録、活発な活動ぶりを伝えている。

 福祉の町の基本テーマとしては行政や社会福祉協議会の専門知識、ボランティア、地域ネットワークを結びつけた「ケアドーム春日」を唱え、「いつまでも安心して暮らせるまちづくり」を目指している。実際には人それぞれに応じた活動が特徴だ。「元気な人」には、健康教室やいきいき相談など、「外出が苦手な人」には防災訪問、配食訪問など、「支えが必要な人」には家事協力、サービス調整チームの派遣など、また「虚弱な人」には会食会、ミニケアサロンなどと、きめ細かく適切なプログラムが組まれている。また、若い母親・乳幼児には子育てサロン、子どもには夏休みのユースアクションなど全年齢層をカバーしている。

 その催しの1つ、春日デイケアセンター「ふれあい料理」では、参加者は数人ごとグループで、講師の指導とともに和菓子を手作りしている。参加者の中で最高齢の女性(95)は「毎月、料理作りしながら、みなさんと話し合うのが楽しみです。このほか交通教室、健康教室などいろいろ出かけてます」と日常生活とのかかわりを語っている。

 同協議会と連携する立命館大産業社会学部乾ゼミのボランティア学生、飼手隆洋さん(21)は「町の人たちの近所付き合いから町づくりまで、発見することが多く、良い経験になります」と話す。

 同協議会の活動の中で特筆されるのが、福祉防災地図の作成・発行だ。26年前から2年ごと改定し、個人情報に配慮しながら全世帯の所在から道路、避難場所、細い路地まで地図化。さらに独居、寝たきり、障害者など居宅を確かめ、日々の助け合いから万一の災害に備えている。

 同協議会代表の高瀬博章さん(85)は「古い町ですから顔なじみが多く、互いによく知りあいながら、協力する伝統と風習が、私たちの活動を支えています。これまでの実績から未来に向けて持続、発展する町づくりを目指していきます」と話している。

<メモ>特定非営利活動法人春日住民福祉協議会
京都市上京区河原町通丸太町角、春日デイケアセンター内 TEL.075(211)5132