ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


ダンボの会


 在宅や施設入居の高齢者や、病院で療養する人などの話し相手になって、その話に耳を傾ける。おおつ傾聴ボランティア「ダンボの会」は2007年春に設立され、大津市内を中心に老人ホームや個人宅での活動を進めている。話し相手を求める人たちが、胸の内の話をボランティアの人に聞いてもらいながら、孤独や不安を癒やし、あるいは悩みを和らげる。介護保険では手が届きにくい心のケアへ、支援活動が進み出している。

悩みを聞き不安和らげる 研さんや情報交換図る

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定例会で報告や話し合いなど情報交換する会員たち
 大津市社会福祉協議会は06年秋、傾聴ボランティア養成講座を始めた。その受講者有志が集まり、翌年にダンボの会を発足させた。現在、同講座2期生を加えて、会員は熟年世代を中心にして28人。

 これまでのボランティアの依頼は、計21件(08年11月現在)。うち高齢者向け福祉施設2件で、ほかは個人からの依頼。傾聴は、通常1時間をめどとしている。また聞き取りにより知り得た個人情報は「守秘義務」をルールとしている。会員たちはそれぞれの都合に合わせて活動に加わっており、施設へは月間3回定期的に、毎回5、6人が担当している。

 一方、月1回定例会を催し、先例グループの活動をDVDで学んだり、認知症など関連分野に詳しい講師による講義を受けるなど研さんしている。同時に会員各自の活動状況について報告とともに互いの経験や悩みなど話し合い、情報交換を図っている。2月定例会では全盲の人から依頼を受けて活動中の会員が、他の人たちにアドバイスを求めたり、あるいは介護手助けをしないという原則を、つい踏み外した失敗談。さらには「何度訪ねても、どなたですと反問されたのに、1カ月半がかり、やっと顔を覚えてもらった」という報告や、訪問先のお年寄りに「死にたい」と告白されて困惑する事態に対して、それぞれ持ち合わせる知恵や対応策を紹介しあうなど、実践的な話し合いが活発。

 民生委員などを務めている会員の橋本輝男さんは「なにか役立つことがあればと初めてボランティアをしたんですが、実際に話を聞いてみて、お年寄りの寂しさが心にしみました」と、実感が深い。在宅ヘルパーの経験10年という永尾トヨ子さんは「ヘルパーは作業予定がびっしり詰まっていて、在宅の高齢者から話しかけられても、相手している時間がないんです。長年気がかりだったのですが、ようやく、話し相手になることができた。喜んでもらえて、最高です」と充実感があふれる。

 また吉田法子副会長は「3年前、自分が病気になり、できることが限られ、傾聴だとやれると参加しました。いろんな人と出会い、生きて来られたすばらしさと誇りなど多く学ばせてもらっています」と話している。

 安部田幸子代表は「傾聴活動に必要なさまざまなスキルを向上させながら、もっと多くの方々に知られ、利用されるように広報していきたい」と意欲を燃やしている。

<メモ>おおつ傾聴ボランティア「ダンボの会」
大津市浜大津4ノ1ノ1 大津市社会福祉協議会内 TEL.077(525)9316