ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


ねっこの郷


 京都市伏見区淀、ビルの2階の広いフロア。テレビを見たり、おしゃべりしたり、ソファに座ったり、あるいは刺しゅうに励んだり、中にはパソコンに向かったり…。集う人たちは、さまざま自由にくつろいでいる。「まるで昔の大家族のようでしょう」と、施設長の木村節子さんは「ねっこの郷(さと)ふれあいサロン」を紹介する。同ビル内に社会復帰センター淀作業所も併設され、サロンとともに障害者の交流から自立、就労の支援へ、車の両輪のように働いている。

生活や就労、地域活動支援 2施設が交流 好環境に

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不用な衣類をリサイクルへ補修作業する利用者とスタッフ
 社会福祉法人ねっこの郷 福祉会は1982年、伏見区中書島に社会復帰センターを設立したのが発祥。95年、旧京阪国道沿いの現在地へ移転。翌年、府内第1号の精神障害者通所授産施設(現淀作業所)を設けた。ついで97年、地域生活支援センター「ふれあいサロンねっこの郷」を開設した。

 サロンは相談と生活や地域活動の支援を行っている。相談は福祉サービスの紹介はじめ、困ったことがらや自立へ踏み出す一人暮らしに伴う賃貸住宅への入居の手伝いなど簡単なことから複雑なことまで、多岐にわたっている。来所のほか電話でも終日、受け付けている。最近の相談件数は月間4、500件に上っている。

 利用者は伏見区のほか宇治、城陽、八幡市など京都南部から1日平均25、6人。自宅以外の居場所として親しまれるとともに利用者同士の交流、調理や掃除などの実習・練習、趣味や創作活動まで多様に使われている。さらにバス旅行、花見、忘年会などの催しもある。サロンは月〜金曜の午前8時半から午後5時。無料。

 一方、社会復帰センターの作業所は京都ではいち早くステップアップ方式を採用。最初の1年が生活訓練、導入課程の予科、2年目は技能訓練の実習科、3年目が職業課程の専攻科。週3〜5日通う。この課程を修了し、一般就労する人が年2、3人出始めているが、半面、修了がままならない人や、就労後再度、Uターンする例など、一様ではないという。

 同利用者19人は地域から無料提供された衣料、食器類などをリサイクル品へ補修、手直しなどを担当。また和服の古着からベスト、バッグ、小物入れなどしゃれた再生品を作ってもいる。

 これらは隣接の店舗やバザーで販売、利用者の給与財源にあてられている。この販売活動が、多くの地域住民とふれあう機会となっている。

 同一ビル内の2つの施設のスタッフは各4人。大家族のような日常生活なので、互いに交流し、だれしも顔見知りという好環境となっている。

 同センター所長の木村正さんは「サロンを利用しながら生活支援をうけ、次に社会復帰センターでの生活・職業訓練により就労・自立へとコース設定ができているのが、強みです。ステップアップ方式は、当初は成果を危ぶむ声が多かったのですが、本人と家族、医師、センターのサポート体制により成果が出ています」と振り返っている。

<メモ>社会福祉法人ねっこの郷 福祉会
京都市伏見区淀本町231ノ40 TEL.075(631)0505