ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


おやじのたまり場


 ベッドタウン大津に住居を構えながら定年を迎えた熟年世代が、地域に戻って、新たなグループ「おやじのたまり場」を、3年前に結成した。団塊の世代を含めて会員が次第に増え、例会での交流を手始めにウオーキングやパソコンなど趣味やボランティアなどサークル活動へ発展。さらに身近な古街道歩きとともにあらためて自分の住む地域の歴史や文化を再発見するなど、生きがいや活気とともに第二の人生を築いている。

第二の人生いきいきと 6サークルが発足

写真
大津の古い街道を会員たちが歩いて探索した記録の報告会
 発足は2006年5月。定年後にボランティアを試みようと大津ボランティアセンターに顔を見せていた熟年男性数人が集まり、みんなが寄れる「たまり場」を―と話がまとまった。続いて「そば打ち教室」を企画するなど外部に働きかけ、次々に会員を増やした。現在、会員が約50人。会員は、大津から会社通勤したり、転勤で引っ越してきたりと、よそからの転入組ばかりで、地元の人がほとんど入っていない。それでも熟年世代は、元気で体力があり、探究心も強い。その上、社交性と活発な行動力を持ち合わせる。

 そんな人たちが出かけて行って、集まる。たまり場として月2回の定例会を最初に設けた。日本画や古墳保存といったテーマを元にして、知識・経験のある会員や外来の講師から話を聞くとともに、会員同士のおしゃべり、交流を重ねている。この中から同好の有志ごとにウオーキング、男の料理教室、パソコン、囲碁、ゴルフ同好会、ボランティア活動研究会と6サークルが発足。サークルは随時、メンバーの都合に合わせて運営されている。

 また昨秋から市の新パワーアップ支援事業の一つとして「ウオーキングで街道の歴史と文化を再発見」の催しを4コースで実施。それぞれ100人近い参加者が、街道の名所や由緒ある史跡を訪ね、古老の話を聞き書きするなど探訪。琵琶湖疏水の遺跡や江戸期に車両運送に使われた「車石」の遺物など文化財を再発見。記録作成とともに報告会を、このほど開催するほど熱心だ。

 一方、ボランティア活動研究会は会員の持つ技能や経験などを生かしたボランティア活動について調べた末、今春から独居老人宅の耐震器具設置など、実践へ踏み出すところ。

 会員の一人、山形恒夫さん(71)は「40年以上、大津に住んでいても、車石など見たことも聞いたこともなく、新しい発見にわくわくします」という手応え。また西沢勝さん(65)は「ウオーキングなどで多くの人と知り合い、写真を撮って、ホームページに入れたり、パソコン情報を交換したり、あれこれ多忙になって時間があっという間に過ぎてしまう」と活気に満ちた感想。

 山崎劭庵会長は、定年後、家でごろごろしてるより、わたしらのたまり場へ、出てきていただければ、同じような仲間と顔合わせでき、わいわいだべっていると、楽しい人生が開けてきますよ」と、同世代へ働きかけている。

<メモ>セカンド・ライフサロン「おやじのたまり場」
大津市浜大津4ノ1ノ1 大津市ボランティアセンター内 TEL.077(525)9316