ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


板橋地域女性会


 地域の環境や福祉などに長年、活躍している京都市伏見区の板橋地域女性会は、2年前から新たにペットボトルの回収に取り組んでいる。会員らの回収とともに地元の授産施設、京都市ふしみ学園などの利用者たちと協力し、リサイクル事業を系統化している。身近な環境活動と地域福祉をつなぐ試みとして注目されている。

住民との交流生まれた 利用者と一緒にエコ活動

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回収後にペットボトルを圧縮、袋つめの作業をする利用者と会員たち
 同女性会は、ことしで設立から61年と市内では有数の古い経歴。学区内の敬老会やバザー、子育て支援など多彩に活動している。現在、会員は高橋肇子会長はじめ約500人。

 同会は30数年前から古紙回収を月1回続けており、回収ステーションを学区内に計65カ所設けている。ペットボトルの回収では、この古紙ステーションの一部を活用し、月2回、集めている。会員のほか賛同者がペットボトルを手近のステーションへ持参する。1カ月の回収量は夏場は300―400キログラム、冬場で200キログラムていど。

 回収後、ふしみ学園で会員がラベルはがしやキャップ除去など処理。さらに、学園利用者らがボトルの圧縮、袋つめ、業者への搬送などの作業を分担。リサイクルの流れを形づくっている。この間、学園ではキャップだけは業者へ売却せず別途集めて、世界のこどもに医療ワクチンを贈る福祉活動へ、役立てている。

 この共同作業とともに会員と施設利用者とが互いに顔見知りになり、付近の道などで出会ってあいさつしたり、会話を交わしたり、交流が進んでいる。利用者の大半は、他地域からの通所なので、伏見の地理に不案内で土地柄になじみも少なく、不便な折りもあるという。対して会員たちは地元のことに精通し、元気で世話好きがそろっているので、日常の交流とともに、ごく自然なサポート網を整えている。

 ペットボトルの処理作業は、不況下で仕事が少なくなる時、同学園の利用者にとって、日常の仕事として歓迎されるうえに、売却金は工賃の一部を補っている。また近くの就労移行支援事業所、市いたはし学園でも仕事の委託という形で利用者が作業に加わり、主に圧縮機械の操作に携わり、就労準備としている。

 一方、地元住民にとっては、かさだかいペットボトルを廃棄でき、市の回収ゴミを減量できる利点がある。会員の1人は「ペットボトル回収のチラシを作って近所の家やマンションに知らせたところ、協力者が増え、回収量が多くなっている」という。

 ふしみ学園施設長、寺本真澄さんは「地域の人たちと利用者が日常で行き来できるようになりました。利用者が町内で困った時に不安やおびえを感じずに、生きやすく、生活しやすい町になってきていると思えます」と相互のつながりを歓迎している。

 高橋肇子会長は「だれしも、いつ病や高齢などによって、障害をもつ身になるか、分からないものです。それだけに、みんながともに生きる力を地域にはぐくむのは大事なことだと思います」と、話している。

<メモ>板橋地域女性会
京都市伏見区新町10ノ381 高橋さん方 TEL.075(622)0815 FAX.075(634)3673