ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


ハートフルガーディナー園芸福祉おおつ


 花と緑を媒体にした福祉活動が、次第に広がりだしている。「ハートフルガーディナー園芸福祉おおつ」は、その一つ。園芸福祉の講習を受けた人たちが集まり、昨年初めに発足。市内の福祉施設に花壇の新設を手がけ、その利用者とともに草花の育成を見守っている。園芸を通して癒やしをもたらし、さらに健全な心身へ、と新しいサポート役が生まれている。

花壇設置、育成見守る 心身の安らぎ、うるおい

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園芸福祉を紹介する「ふれあい花壇」で作業する会員たち
 財団法人大津市公園緑地協会は、園芸福祉のボランティア育成のための「ハートフルガーディナー養成講座」を2006年秋に開設している。園芸福祉の概要入門から植物生理や病害虫の予防、農薬などについての講義のほか土作り、移植、寄せ植え、せん定などの実習まで、計8回のカリキュラム。修了者には園芸福祉に携わるにふさわしい、として同財団が「ハートフルガーディナー」の資格を認定している。

 この受講者を中心にして「園芸福祉おおつ」が、立ち上げられた。現在、山田隆造会長ら会員は12人、本拠を一里山公園緑のふれあいセンターに置き、毎月の例会での実習によりセンターの一角に「ふれあい花壇」を作り、活動の一端を市民に紹介している。

 昨秋には市内の晴嵐デイサービスセンターに花壇(30平方メートル)の造成を引き受け、会員らが総出でブロックで枠組みし、土の掘り起こしや土作りから草花の植え込みまで手がけている。また、障害者通所授産施設いしづみでは、利用者とともに花壇に花苗を植え付け、その後も手入れを続けている。この間、認知症状のあるお年寄りには、土や草花に触れるのは、懐かしい作業であり、顔の表情が和み、身体の動きが良くなるなど心身の活性を促しているのでは、と会員たちは感じている。

 さらに市内の公園での緑化作業を支援したり、園芸関連の催しへミニガーデンを制作、出展するなど活動している。今後は依頼によって高齢者宅の庭園管理や保育園・幼稚園、学校などでの緑化作業の支援などを検討している。

 一方、養成講座は今春、第4期生(30人)が終了。その人たちを含め大津市の北、中央、南の三地域で園芸福祉の活動が進んでいて、最近、合同の事例発表会を行うまでになっている。

 市公園緑地協会の職員、藪下修司郎さんは「園芸を通して高齢者や障害者と触れあう機会をつくり、互いのコミュニケーションとともに心身の安らぎやうるおい、さらにリハビリ効果が期待できます」と説明する。

 会員たちは「お年寄りの方々が喜んで、土や草花に触れ、笑顔が見られるのに、ほっとします」との声が多く聞かれる。その上「会員同士が知りあえ、園芸について話ができ、知識や情報が豊かになっている」ともいう。

 山田会長は「自分の植えた苗が育ち、花を咲かせると、幸せな気持ちがふくれていきます。より多くの人と一緒に楽しんでいけるよう目指しています」と語っている。

<メモ>ハートフルガーディナー園芸福祉おおつ
大津市御陵4ノ1 大津市公園緑地協会内 TEL.077(527)1555