ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


京都運転ボランティア友の会


 風にのって街に出よう!買い物にレジャーに、玄関から目的地まで走ります―。京都運転ボランティア友の会の案内チラシは、軽快に呼びかけている。障害者や高齢者の外出を支援する特定非営利活動法人で、国際障害者年を記念して1981年に設立され、この分野では京都の草分け。近年は高齢者の利用が増えており、そのニーズに対応できるよう車いすの移送とともに家庭や施設から気軽に外出できる介護支援に力を注いでいる。

障害者・高齢者の外出支援 家庭や施設から気軽に街へ

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新障害者、高齢者の足を確保する車両を点検する吉田会長
 設立当初は、ボランティアの運転者数人が京都市社会福祉協議会の車を借りて、外出が困難な障害者を、土日の週末だけ送迎していた。その後、89年から財団法人などから贈られた福祉車両の保有とともにウイークデーにまで活動を広げた。

 現在の保有車は4台で、車いす計9台まで運べる。その運転者は計17人(うち女性2人)。最年少は30歳代だが、平均年齢は約60歳。企業などを定年退職した人たちが主力。みんなの都合を調整して、ボランティア運転に携わっている。

 一方、利用の登録者は約250人。同会が京都市内と宇治市で福祉有償運送の許可を受けているので、利用者の送迎先のいずれかが両市に含まれれば、利用可能となる。昨年の年間利用者は介助者を含めて約3200人。京都では、最も多い実績をあげている。

 当初は障害者が主だったが、9年前の介護保険の施行に伴い、高齢者の利用が次第に増え出し、今では3分の1がお年寄りになっているという。

 このほか他府県から修学旅行などで京都入りする特別支援学校生徒の観光案内の送迎を引き受けてもいて、利用層は広い。

 料金の基本は1日2000円、半日1000円(他に時間制もある。有料道路代、駐車場代は実費負担)という格安。特定非営利活動法人なので利益を目的としない上に、ボランティアの運転協力はじめ割安の事務所やガレージの貸与など協力者に支えられ、この料金が維持できるという。実際に運転者は事務所までの交通費と昼食代(1000円)だけが支払われ、労力はすべて無償だ。

 同会のサービスの特色としては「介護者が付いていなくても外出支援できる」という点で、ボランティアの人たちは車いすの移送やトイレ介助など介護講習を受けている。また3年前から「福祉有償運送運転者協力講習会」を開催。同会員が講師となり、昨年は計160人が受講している。

 最近の全国調査(特定非営利活動法人全国移動サービスネットワーク、2009年)によれば「移動制約者の外出は拡大傾向にある現実があきらかになった」といい、外出の利便性へのニーズは根強い。

 三代目会長の吉田嘉久さん(70)は「作業所への通所や病院への通院だけではなく、温かな食事をとりたいとか、買い物に行きたい、DVDを借りたい、時には酒も飲みたいなどと、だれしも望むことがあると思うんです。人間らしく生きるためにサポートできたら」と、純朴な心構えを語っている。

<メモ>京都運転ボランティア友の会
京都市南区上鳥羽奈須野町37 TEL075(682)0204