ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


ふじみ手話サークル「かいつぶり」


 だれでも参加できる地域ボランティアの拠点に、という思いとともに発足したのが、大津市のふじみ手話サークル「かいつぶり」。初めは会員20人ほどでスタートし、手話を通してろう者と仲のよい友だちへ、と20年余、着実に歩んできた。今では会員約50人という大所帯に育ったが、「あたたかくて優しいグループづくり」との初心が脈々と引き継がれている。

ろう者と健常者 教え合い 身近な話題 手話で報告

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一人ずつ順番に、身近な出来事を手話で報告しあう例会
 サークル結成のきっかけは富士見公民館で開かれた手話講座。連続8回の講座終了の後、受講者たちが集まって立ち上げた。手話の習得をはじめ、ろう者との交流、さらに手話の普及活動、手話団体との交流会開催など活発な活動を積み重ねている。

 現在の会員は女性が圧倒的に多く、地元の大津市はじめ草津、守山、栗東、近江八幡市など湖南一帯、さらには京都市まで広がっている。

 毎週1回の例会には健常者、ろう者がともに参加。最近、身のまわりに起こった話題を一人ずつ、手話で報告するのがメーン。すらすらと手話が運ぶ一方、中にはぎこちなく、行き詰まったりするシーンも混じるが、終始、和気あいあいのムードが流れている。

 その中で長年講師を務める川淵依子さんが、豊富な知識と経験から随時、場面に合った助言をする。その手直しされた手話を、すぐさま全員で反復練習。実際に役立つやり方が確立している。

 普及活動では、5年前から知的障害者の授産施設や地域住民が集まるデイルームなどで、会員有志がボランティアで手話を教えている。「初めは、どういうように教えていいか、迷ったりしましたが、今では楽しみにして待っていてもらう人もあり、手話の歌や絵カードなど活用して、一緒になって、やっています」と一会員はいう。

 また「かいつぶり」の前身の初代「かいつぶり」から引き継いだ秋の交流会は、今年で33回に及んでいる。川渕講師とかかわりのあった地元滋賀はじめ京都、大阪など各地の手話サークルから、100人以上参加するという盛況ぶり。

 例会に出た、ろう者の辰巳芳子さんは「7年前、定年後に、この会に加わりましたが、みんなと仲良くなれ、その話を聞いていると、楽しくておもしろい。いろんな身近な情報が得られ、視野が広くなります」と喜んでいる。また、ろう者の山田恵美子さんは「手話は正しく覚えてほしいので、あれこれ助言したりしています。でも、上手下手など関係なく楽しく続けられるのが一番です。例会の後、みんなとお茶や食事に行ったりするのが最高です」と歓迎。

 代表の宮本ちず子さんはもともとテニスに熱中していたが、たまたま手話講座をのぞきに行って感動。以来、手話一筋という経歴。「聴覚障害の人は一見しても障害が分かりませんが、日常の情報でさえ、入りにくいというハンディがあります。周りから支えることが大事だと思っています」と話している。

<メモ>ふじみ手話サークル「かいつぶり」
連絡先=大津市国分2の4の6 宮本さん方 TEL&FAX 077(534)7439