ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


特定非営利活動法人 アプリ


 芸どころ、京都の特色をフルに生かしたボランティア活動がある。3年前に設立された特定非営利活動法人アプリは、古典から現代の芸能はもとより保健衛生や家屋の改修・修理や外国語習得まで、なんと80ジャンルに及ぶ人材を擁している。芸能や技術に達者な市民が集まり、福祉施設や地域団体などの要望に応える一方、多様な催しの企画立案まで引き受けている。

特技生かし催し企画も 芸達者な市民次々と集まる

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お年寄りの好みに合った出し物を提供する会員たち
(左京区岩倉、高齢者専用マンション・テンダーライフひえい)
 3年前、ピアノ教室の講師、大西真弓さん(同法人理事長)は少子化とともに以前より時間の余裕ができてきたことから、友人・知人5人に相談して、大正琴、津軽三味線、フラワーアレンジメントなど各人の特技を生かしたボランティア活動に踏み切った。

 その後、会員の働く教室の受講生に働きかけたり、ちらし配布するなど特技ボランティアを募集した。すると、多様な分野から腕達者が次々と集まり、今では正会員とボランティアで計113人という大所帯へ。アマチュアが大半だが、中には芸能や医療などのプロまで含まれている。

 その多彩・多岐なジャンルを見ると、マジック、南京玉すだれ、影絵、ロック系バンド、フラダンス、スペイン語、美容エステ、和装着付け、似顔絵、紙芝居、獅子舞、吹奏楽、そろばん体験、ハンドベル、東南アジア古典音楽、木工、整体、手話講座など技芸全般に及んでいる。

 事務局は提供できる技芸リストから、福祉施設、高齢者や地域団体などの要望に沿って派遣する人と日時などを調整、さらに、さまざまな催しのプラン作成も手がけている。昨年は京都市内はじめ南丹、久御山、城陽、宇治、八幡などの市や町で、定期派遣(30施設)を含むボランティア活動を約110件行った。

 7月下旬、左京区の高齢者専用マンションでの活動には大西さんなど計5人が参加し、出し物のメニューはスクリーン上に往年の銀幕俳優や流行歌手の写真を写しながらのクイズ、続いて民謡、手芸体験など。食堂の広間に集まった高齢者たちは、クイズでは車いすの人を含めて、懐かしい思い出がよみがえり互いの会話が弾みだす。次いで身体を動かす踊り。みんなの表情が次第に和んでいく。

 司会を務める同法人の理事小松靖志さんは、本職のカイロプラクティックでの活動が各地で好評だが「空いた時間を活用してハンドベル、獅子舞など練習してます。みなさんに喜んでもらえるのが一番です」とマルチ・タレントに挑戦中。また会員の樋口むつみさんは「会に入って、日が浅いのですが、教室で習っている朗読、傾聴を実地で試みています。ボランティアを始めて、知り合いがふえ、こんな楽しいところがあるなんて」と新天地に感激している。

 大西さんは「京都は芸達者な人が多いのですが、それを生かす場が待たれていたんですね。その間をコーディネートするのがわたしたちの役割なんです」とし、現在、会員、ボランティアを募集中という。

<メモ>特定非営利活動法人アプリ
京都市南区吉祥院西ノ庄西浦町20の1 TEL&FAX 075(496)4111