京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
|
●UP 地域の力
京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や 特定非営利活動法人 CASN
子どもの思いをしっかり受けとめ、その持てる力を発揮できるように支援する。大津市の特定非営利活動法人CASN(カズン)は、目標を定めている。CASNとはChildren's Action Support Networkの略称で、子どもに向き合う、おとなたちによる組織。2001年に特定非営利活動法人に認証されている。以来、子ども専用電話の「しがチャイルドライン」、スローな子育て、あそび倶楽部(くらぶ)の事業を主にして活動している。
子どもにかかわる社会組織は、保健福祉、学校教育、青少年対策などとさまざまに分かれている。これでは、なにかと不十分。子どもをそっくり、全的にとらえる仕組みが必要なのではないだろうか? 滋賀県内で子どもにかかわる保育士、栄養士、教職者、市民運動家などさまざまな約30人が思いを一つにして、子どもにかかわるネットワークを01年、結成した。これがカズンの母体で、現会員は滋賀県内に約70人。
チャイルドラインは子どもの声に耳を傾ける専用電話。1970〜80年代、欧州で始まり、日本では1998年、東京・世田谷から全国各地に普及。カズンは02年に開局し、ボランティアの聞き手により第1と第3金曜日の月2回(夕方4時〜9時)開設している。18歳以下の子どもが喜びはもとより悩み、不安、寂しさなど、だれかに聞いてもらいたいことを電話=0120(99)7777=で受けとめてもらえる。その際▽秘密をだれにも言わない▽名前を名乗らなくてもいい▽どんなことでも一緒に考える、などとカズン側が約束するというルール。この5年間の着信は計6千件にも上っている。 「いじめや自殺などが社会問題になる以前から子どもの声が届いている。子どもと社会は地続きだと感じています」とボランティアの一人が感想をもらしている。 「スローな子育て」は「食育」と「あそび」を中心に長浜、大津の2カ所で開き、旬の素材を使った料理が好評。また会員の保育士らによる「親子リズム」は親子で一緒に遊びながら、心身を解きほぐして親子のスキンシップの方法を伝える。 一方「あそび倶楽部」は月例会のほか各地のイベントなどに、遊びコーナーを特設。こま、ベーゴマ、鬼ごっこ、おはじきなど昔ながらの遊びの場を作っている。子どもたちはTVゲームとは違って、身体を動かし五感を働かせながら、周りの子どもたちといっしょに遊ぶ。遊びの体験を豊かにし、心もともに解き放つ効果が生まれている。伝承遊びに子どもたちは新たな興味を抱き、集中し、互いに教え合うなど、遊び仲間の関係も自然にはぐくまれるという。 同法人の谷口久美子理事長は「子どもたちは遊びのなかで仲間とともに育ち、新しい遊びを目指します。おとなが思いもつかない、伸びやかな創造力などには目をみはります。一方、子育ての中の親たちは地域とのかかわりが乏しくなり、孤立し不安になりがちですから、身近な地域での交流を支援することに力をいれています」と話している。 <メモ>特定非営利活動法人CASN 大津市北大路1の4の15 TEL&FAX 077(537)5922
▲TOP
|