ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
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特定非営利活動法人 メダカの学校


 アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患が国内外で増えている。先に厚生労働省が調べたところでは「およそ3人に1人がアレルギー疾患をもっている」といい、その治癒に悩む人が後を絶たない。特定非営利活動法人メダカの学校(本部・名古屋市)の京滋支部は「自然療法による社会復帰を」と唱え、フォーラムや料理教室、情報提供などの活動を進めている。症状が重くて社会活動ができにくくなりがちな人たちに、選択肢の一つとしてメッセージを発信している。

自然療法で復帰を支援 増えるアレルギー疾患

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社会復帰支援施設で無農薬の野菜を主とした自然食をとる合宿参加者たち(岐阜県中津川市)
 2001〜02年、厚労省の行った全国調査では、小学1年、同6年生でアトピー性皮膚炎が11%認められた。またアレルギー疾患は、1970年代後半に急増したとされ、疾患率は乳幼児28・3%、小中学生32・6%、成人30・6%に上っている。

 この間、日本皮膚科学会はアトピー性皮膚炎について治療ガイドをまとめ、公表している。疾患の原因として遺伝的要因のほか食物、ダニやハウスダスト、生活習慣、ストレスなど環境に伴うものがあげられている。

 メダカの学校は、長年に及ぶ持病のリウマチを自然との共生を中心にして克服した遠藤栄子さんが、14年前、名古屋に設立。01年に特定非営利活動法人の認証を受け、本部のほかに自然療法による社会復帰支援施設を岐阜県中津川市で運営している。

 支援施設は宿泊施設をはじめ無農薬の菜園、池や小川を含む自然に富む環境で、泊まり込んで早寝早起きなど生活習慣を整え、自家栽培の無農薬野菜を中心にした食生活を実践する。その手法を、帰宅後の生活に引き継ぎ、治していくという。

 京滋支部はこの自然療法に取り組む人たちを主として会員が約30人。会員同士の随時の集いのほか年2、3回、同療法についてのフォーラムや料理教室の開催、市民運動などのイベントへの出展、チラシによる情報発信、さらには自然食品のあっせんなどを行っている。フォーラムは、20〜30人が参加し、自然療法の紹介から治癒例や経験談などの内容。また料理教室では無農薬の食材を契約農家などから取り寄せ、講師から薬膳(やくぜん)料理のメニューを学び、日常に生かしている。

 また同法人は、今秋、長浜市で開かれた「びわ湖環境ビジネスメッセ」にも初出展。健康について環境側からのアプローチの成果を紹介している。

 京滋支部長の仲村加代子さんは、自らリウマチの持病を持ちながら仕事を続け、3年前退職。自然療法により持病が軽快した体験の後、同じような悩みのある人に向けてボランティア活動を始めた。「アトピー性皮膚炎、ぜんそく、リウマチでも、生活の基本になる食べ物が大事ですよね。社会復帰支援施設で生活改善を試み、重い症例が、短期間に軽くなるなどの事例が相次いでいます。一人でも悩める人へ手助けができればと、参考のヒントとして情報提供していきたいです」と話している。

<メモ>特定非営利活動法人メダカの学校・京滋支部
京都市山科区音羽乙出町13の5 仲村さん方 TEL075(594)4653