ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


市民活動拠点「ハイ・どうぞ」


 大型映画館、商業集積街や大学施設など都心開発が進む京都市のJR二条駅前。すぐ近い姉小路通は、いまだ在来の町家の家並みが残っていて、その一軒を改装した、小さな店「ハイ・どうぞ」が、3年前にオープンした。ランチと喫茶、配食を営み、さらに小規模共同作業所を兼ねている。特定非営利活動法人ふれあいほうむ“どうぞ”が、地域の人たちが互いにつながり、ともに生きる身近な拠点に、と設立した。

特技生かしつながり合う 配食や作業所など多彩に

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自慢の日替わりメニューのランチを手作りする
 このグループは1998年、子育て中の女性数人を中心にして中京区で発足。買い物や通院の付き添い、保育園の送迎など住民同士で互いに助け合おう、との有償ボランティアの団体である。続いて2002年、仲間の一人から障害のある子どもが養護学校を卒業した後、働くところが見つからない、との悩みが打ち明けられ、これをきっかけにして、「共に生きる作業所を作ろう実行委員会」を結成。フリーマーケットやバザーを開いて資金作りなどの活動をしてきた。

 その市民活動の拠点と作業所を兼ねて、町家を借りて「ハイ・どうぞ」を開店した。ここでは職員、パート、ボランティアら約10人が常時、働いている。

 日祝日を除く週6日は、配食の弁当とランチが50食。すべて手作りというのがご自慢。弁当は周囲約1kmに住む独居高齢者に主に届けている。

 弁当・ランチは野菜をたっぷり使い、また玄米も選べるなど家庭的なあたたかさが持ち味。近所の住民はじめサラリーマンや大学生にまで歓迎されている。

 一方、作業所(定員5人)に通ってくる人たちは、この配食や調理作業に加わるほか、クッキー作りや近所の二条生協の喫茶コーナーでのテーブルサービスなどに携わり、地域の中でのポジションを占めている。

 通常の営業のほかに日曜市や月例の居酒屋「ガッテンダ・どうぞ」、2カ月に1回の歌声喫茶、年2回の寄席などを開催し、さらに2階の2部屋を地域に開放(有料)しており、絵手紙、英会話などの文化活動に利用されている。

 また母体である有償ボランティアでは、介護保険でカバーできない買い物の付き添いや保育園児の送迎、妊婦の産前・産後の支援や、会員の理美容師さんによる訪問理美容サービスなどが活用されている。

 この間、30人に上るボランティアにとっても、調理などの得意技を生かしながら仲間作りができ、新たなコミュニティーが作られているという。

 配食サービスを手伝うボランティアの奥田泰三さんは「自転車で弁当を7、8軒配達しています。以前、近くに住んでいたので、土地勘があり、道順で困ることはありません。届けると、すごく喜んでいただき、私の心の励みになっています」と順調な手応え。

 長年の教職から転じた同法人代表の小林敬子さんは「地域のみなさんとつながりあえ、よろこんでいます。町の中は人材が本当に豊富で、その人たちのネットワークができるような場も提供していきたい」と話している。

<メモ>特定非営利活動法人ふれあいほうむ“どうぞ”
京都市中京区西ノ京永本町13 TEL075(811)5007