京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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●UP 地域の力
京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や 山科タンタンおもちゃライブラリー
ハンディのある子もない子も、ともにおもちゃで遊ぶグループ、山科タンタンおもちゃライブラリー(京都市)は、設立からすでに四半世紀を超えた。当初の利用者が30歳以上に成長し、ボランティアも大学生たちが卒業とともに後輩へリレーしたり、あるいは親子2代に及ぶ継続例など、人から人へつないでいる。月例会は、子どもと、そのきょうだい、親たちとボランティアまで大家族のような和やかな空間が作られている。
おもちゃライブラリーは1963年、スウェーデンで子どもたちがおもちゃで遊びながら成育する場の設立を―との活動から始まり、日本では75年、大阪を最初にして各地で設立されている。
山科タンタンは、地元の毘沙門堂を借りて83年に開設。「当時は、障害のある子どもたちの遊び場は他にはなくて、広々とした境内や自然に恵まれ、おもちゃもたくさんあって、夢みたいなところでした」と、古い会員は振り返っている。 現在は場所を山科青少年活動センターに移し、月2回の例会、年2回のキャンプのほかハイキング、野外バーベキュー、川遊びなどを催している。 先月下旬の例会。子どもたち十数人はじめ、親やボランティアの人たちまで、次々に集まってくる。まず会場の一室にシートを敷き、ボールやバット、風船、台所セット、的あてゲーム、お絵かき用具などいろんなおもちゃを準備する。周りの人たちは手慣れたスムーズな設営ぶり。子どもたちは、好みの遊具の元にたちまち集まり、にぎやかに遊び出す。ライブラリーという通り事務局にさまざまなおもちゃを所蔵し、毎回、遊具を選んで持参している。 一緒に遊ぶ大学生のボランティア後藤優子さんは「4年前、友だちに誘われて来たんですが、子どもたちがかわいい。喜んで遊んでくれると、やっててよかったと思います」との感想。 大学生などのボランティアは初心者が多いため、同ライブラリーは最近、小冊子「みなさんへのお願い」をまとめ、参考資料として内外に配布している。冊子は発達障害、自閉症などの特徴とともに、特性ごとの対応などを簡潔にまとめ、さらに専門医の解説まで網羅している。 利用者のある母親は「7年前から子どもと通っていますが、他のおかあさんたちと日常生活や進路の問題などあれこれ話し合え、情報が得られるのが心強いです。子どもは学校の規則とは違って、ここでは自由に好きなことができ、その姿から子どもを広く理解できます」と笑顔で話す。一方、ボランティアを息長く確保できる点について古参会員の谷内文子さんは「募集のチラシを保健所や大学などへ配布するほか、口コミで広めたり、友人知人など地縁でお願いしたり、努力しています」と説明する。 板野美由紀代表は「ここは障害のある子どものきょうだい、家族までともに集まれる数少ない場です。そこで、長年にわたる横のつながりをお互い築けるのが大きな特色です」と話している。 <メモ>山科タンタンおもちゃライブラリー 京都市山科区御陵鳥ノ向町14 TEL 090(4904)6106
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