ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


特定非営利活動法人 京都漫才塾


 いつでも、どこでも、漫才の出前を引き受けます。京都市を本拠にする特定非営利活動法人京都漫才塾は、漫才をタネにしたユニークな活動を進めている。アマチュアながら漫才コンビを育成し、地域の催しに派遣し、笑いの輪を広げる。身近な話題をもとにした、井戸端会議のようなおしゃべりを持ち味として、地域のお年寄りたちや子どもまで、親しまれている。

身近な話題で笑いの輪 敬老会など幅広く出前

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身近な話題をネタにして練習する漫才塾の会員たち(新大宮ふれあいホール)
 漫才塾の設立は、9年前。漫才ファンだった志摩泰廣さん(69)が、定年後、年来の夢だった漫才の台本を本格的に書き出した。それとともに漫才の実演へ、ついには漫才塾を始めるに至った。当初は子どもや外国人向けに塾を開いたが、子どもの場合は進学問題と重なり継続がむずかしく、また外国人ではコンビを組む同士で日本語の熟達度がうまくかみ合わないなどの壁にぶつかって中断した。

 その後、新たに女性を対象として塾を続け、会員12人が、コンビを組み、1年ほど練習したうえで、舞台デビューしている。

 京都市北区の新大宮商店街ふれあいホールが、恒例の練習場。自前の舞台衣装の人をまじえた二人組が、持ちネタの漫才を、快調なテンポでしゃべり出す。それを見守る志摩さんが、間合いやしぐさの工夫などを助言しながら時間をかけて調整し、話を練り上げていく。近所のおばさんたちの日常のおしゃべりとは一味違う、ユーモアの話芸が立ちあがる。

 今のところ、漫才の脚本は、コンビ同士の身近な話題をもとに志摩さんが編成し、上演時間7、8分ほどにまとめている。

 出前漫才は京都市内はじめ宇治、城陽、木津川市までに及んでいる。各地の敬老会から高齢者のデイサービスセンターなど福祉施設、病院や自治会の催し、あるいは子どもの地蔵盆など、さまざまな舞台に出演している。

 「会社やめて、子育ても終わり、犬も死んだし、あとは主人を見送るだけ」と自己紹介する会員の池田みさこさん。もともとだじゃれが大好きで、人を笑わせるのが好きという。「しろうとが漫才をやれる貴重な機会と、塾に入りました。人を楽しませているというより、こちらが、ほくほく楽しんでます」とのりのりの調子だ。

 また芸名「エイコ&トシコ」のコンビを組む足立あさのさんは「年がら年中、白い帽子かぶって」と自分の白髪を紹介しながら「おしゃべり好きで、楽天家な性分ですから、漫才なら一度やってみたかったんです。いざとなると、漫才はむずかしいですわ。ボケやつっこみ、しゃべりの間合いやジェスチャーなど、もっと研究せな、と思ってます」と芸を磨いている。

 志摩さんは「演芸といえば歌謡や舞踊などいろいろありますが、漫才は他と違って、気が抜けて喜んでもらえます。緊張をときほどき、人気があります」と話す。「漫才を、やってみたいという人はどしどし参加していただきたいし、また出前の依頼の方も気軽に声を掛けてもらえたら」と、望んでいる。

<メモ>特定非営利活動法人京都漫才塾 
京都市北区大宮薬師山東町13の65 志摩さん方 TEL 075(492)9669