ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


滋賀ものづくりネット


 布小物、陶器、ケーキ、木工品、ガラス加工品、パン、自家製せっけん、釣りざおなど、さまざまな手作りの品々が並ぶ。広場には南京玉すだれのだしものも加わり、町の一角ににぎやかな市場が出現する。手づくり作家たちを応援する特定非営利活動法人滋賀ものづくりネットが、県内各地で市を設営して、4年目に入る。ものを作る人と地域の人たちが市場を介してふれあう―地域の活性化へ、ユニークな展開が試みられている。

対面販売、ふれあい深める
手づくり市で作家支援


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地元のモール商店街とともに開かれる「青山プロムナードの手づくり市」
 同ネットは現在、栗東芸術会館「さきら」での「滋賀がいいもん市」(第2日曜日)と大津市の「青山プロムナードの手づくり市」(第4土曜)の2カ所で定例市を開いている。さらに草津市の宿場まつりなど各地の祭り、企画展、商店街の催しなどにも随時、加わっている。

 4年前、実行委員会により手づくり市が、「さきら」で催され、これを定期化へ。ついで昨年3月、特定非営利活動法人を立ち上げた。最初、市の出品は60店だったが、今では120店へ倍増する人気ぶりである。

 出品はフリーマーケットやリサイクル市とは一線を画して、マスプロではない手づくり品に限っている。作り手はプロ・アマ不問で、主婦の趣味の作品でもOK。また福祉団体の出店を無料扱いしている。一方、特設ステージは歌、舞踊、演奏、演芸などを発表したいグループに開放している。

 定期市では作り手の大半が店頭に立っている。訪れた人たちと出展品についてあれこれ話が弾み、人と人がつながる、なごやかな場面がおのずと形成されている。  6年前、脱サラして彫刻作品を手がける田中照久さんは「もの作りは日本の原点だと思って、あれこれ作ってます。対面販売は昔ながら、楽市・楽座みたいなもので、楽しいですよ」と笑顔をふりまく。また開店前に行列ができるほどの人気のベーグルを販売する谷口美香さん(湖南市)は「たくさん準備してくるんですが、早い時には30分で売り切れたりします」という。最近、自宅内に工房を新設し、軌道に乗っている。

 もの作りが好きなために勤めていたアパレル系会社を退職し、自作に踏み切った安藤由紀さんは、布小物を扱う。「京都の上賀茂と青山、栗東の三つの市をメーンにしてます。販売しながら、お客さんからじかに話が聞けて、次に作る時の参考になります」との手応え。また知的障害者授産施設ノエルしごとの家(大津市)も出店の常連で、クッキーやマフィンなどを販売している。生活支援員の小川元靖さんは「ここでの販売収入が施設利用者への給料にあてられます。出店により施設への支援の輪が広がれば」と期待する。

 同ネットでは代表浦谷誠人さんの呼びかけに応じた友人たちが設営の裏方として協力する体制を組んでいる。「ものを作る人も、市に来る人もにぎやかに楽しんで、仲良くなって、いい風に回ってます。地域の活性化へさらに努力していきます」と浦谷さんは話している。

<メモ>滋賀ものづくりネット 
守山市木浜町1634 TEL 077(585)1234