ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。


コスモス・キッチン


 多忙な日常から、とかく食の大切さがおろそかにされがちで、朝食の欠食や栄養の偏りなどが懸念される。そのなかで昨年秋に宇治市で結成された食育団体、コスモス・キッチンは、子どもの成長には健全な食生活を―と、子ども向けの料理体験教室の開催など、活発に活動を進めている。コスモスは、子どもの他、両親や地域住民へ食材の「地産地消」を働きかけ、また伝統食や行事食などの貴重な食文化を伝えようとしている。

地産地消や文化伝える
子ども向けに料理教室


写真
調理台ごとにグループを組んでうどんを作る宇治市の小学生たち
 夏休みの一日、宇治市生涯学習センターの調理室は、エプロンにずきんを着けた小学生たちで埋まった。コスモスが開いた「手打ちうどんとお茶のデザートを作ろう」という料理教室。コスモスの会員たちが料理の手順を大きな図面で示しながら、グループごとに手を取りながら教える。子どもたちはうどん粉を練って、刻んで、ゆであげから試食まで、3時間ほどみっちりと汗を流して奮闘した。

 「うどんは太かったり、細かったりしていて、ちょっと固いのもあったけど、自分で作ったので、おいしかった」と子どもたちは満足の表情だ。見守った母親の一人は「インスタント食品やお店だと、すぐに食べられるのに、うどんを作るのには、ずいぶん手間が掛かることを体験して知り、食への関心を寄せる良い機会になりました」と歓迎する。また男児を伴って参加したある父親は「下に赤ん坊が生まれたので、上の子どもと食事を作る機会が増えました。今回は子どもが楽しんで経験できて、ありがたかったです」と喜んでいた。

 コスモスは市内公民館で進めてきた食改善推進団体に属した女性や4年前、市内で開かれた「食生活改善推進講座」の受講者など10人が集まって発足した。親子向けの料理教室をはじめ行事食や旬の食材を使った料理の推奨、地元産の食材による「地産地消」の推進、伝統食文化の継承などを目標として、さまざまな企画や催しを打ち出している。

 例えば行事食では、ひなまつりに伴う教室で、ひなずし、菜の花からしあえなどのメニューを実習、地産地消では、特産の宇治茶を使ったデザートなどを紹介している。伝統食担当の田村幸子さんは「家庭の味をぜひ伝えてほしいんです。最近では新しょうがの甘酢漬けを実習して好評でした。これから梅干、らっきょう漬けや自家製ふりかけなど常備食を試していきます」と企画を練っている。

 また、日本食育インストラクターの資格を取得している会員、野尻尚美さんは「忙しいお母さん方には、ひまのある土曜日などを利用して、簡単にできるさまざまな料理法など知ってもらいたいし、また食についての知識やマナーなど、取り組みたいことがたくさんあります」と意欲を燃やしている。

 代表の藤井浩美さんは「活動は子どもの食育を中心にしています。子どもたちが食べ物に興味を持ち、さらには自分で作れるようになったらいいなあ、という願いです。またおかあさんらに向けて食へのヒント、助言を次々に発信できたら」と期している。

<メモ>コスモス・キッチン 連絡先=藤井浩美さん。 TEL 0774(33)5803