ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
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京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
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SONIC 〜京都電動蹴球団


 足の代わりに電動車いすを使ったサッカー。障害者の新しいスポーツが、近年普及し始めている。京都で唯一の電動車いすサッカーチーム「SONIC〜京都電動蹴球団」は、高校生、中学生を中心とした若者の集まりだったとえ重い障害があっても、操作レバーで車いすを自在に動かし、ボールをパスし、シュートを放つ。迫力十分だ。同蹴球団の中心選手の一人が、今春、日本代表チームの選手候補に選ばれるなど、実力を着々と培っている。

障害者もサッカー楽しく
精神面の鍛錬に役立つ


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他のチームの選手らと合同練習するSONICの選手たち(京都市こども体育館)
 このスポーツは十数年前に欧州で始まり、日本では大阪で最初に試みられた。京都では1997年、荒木正幸さん(現SONIC監督)らが、チーム「チャレンジ京都」を設立した。その後、中断していたが、新メンバーの加入とともに2006年末、チーム名を改めて再発足している。

 競技はバスケットボールのコート全面を使い、前後半20分ハーフ。チーム4人編成で、うち1人がゴールキーパー。前面にフットガードを取り付けた車いすを、前後や回転など動かしてボールにぶつけてパスやシュートをして得点を競う。

 現在、同チームの選手は8人。うち中高校生が6人を占めている。また、監督、フロント、コーチなどスタッフが計10人。

 月2回、京都市障害者スポーツセンター、京都市こども体育館で練習する。試合は、毎年1回の関西ブロックリーグ(10チーム参加)を主として年間10試合ほどをこなす。08年と09年の2回、全国大会に出場してもいる。

 日本代表チームの候補になった高校生南部静耶さんは、小学生のときサッカーをやっていたが、身体の障害とともに中断した。その後、母の助言により電動車いすサッカーに出合った。「やってみると、楽しかった。今は得点力を上げるのが課題です。仲間たちとあれこれ話し合い、チームワークは上々かな」と快調だ。

 また昨年、関西ブロックリーグ戦で得点王を競り合った高校生吉村和馬さんは「練習日が待ち遠しい。シュートが決まった時は最高です。来期は得意のドリブルをいかしてがんばりたい」と闘志満々だ。

 一方、ヘッドコーチの河前秀朋さんはサッカーの経験者で、当初、新競技に戸惑ったが、講習会の受講や、ルールブックを研究してコーチ法を工夫している。「チームプレーの向上や精神面での鍛錬へ、サッカーが役だっています」と話している。

 またフロントの吉村伸さんは「筋ジストロフィー症の長男(和馬さん)が、なにかできないか探して、この新スポーツを知りました。コートに出る選手たちは、水を得た魚のように、本当に喜んでいます。練習場の確保や高価な競技用の電動車いすなどの悩みがありますが、なんとかサポートしていきたい」と期している。

 荒木監督は「スポーツを通して、多くの仲間と知りあえ、交流を広げています。障害があってもスポーツを楽しめます。もっと、やる気をもってもらえたら」と新たな参加者を募っている。

<メモ>SONIC〜京都電動蹴球団
京都市下京区高材木町217 吉村伸さん
TEL 075(352)3749