ともに生きる・福祉のページ
京都新聞掲載「ともに生きる」「福祉のページ」の記事をネット上で紹介するコーナーです。
UP 地域の力

京都、滋賀で地域福祉を支えるNPO(民間非営利団体)や
地域の人たちの活動・話題をリポートします。



特定非営利活動法人 e−はちまん


 IT推進の力をいれる近江八幡市を本拠とする特定非営利活動法人「e−はちまん」は、多くの市民がITの恩恵を享受できるように、と設立から6年目の活動に入っている。ITについて知識や経験の豊かな会員が集まり、互いに研さんに励むとともにパソコン教室の開催を主軸として活動。若年層から年配者まで幅広く、初心者に行き届いた教え方で歓迎されている。

研さん励み丁寧な指導
IT推進へ活動6年目


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丁寧な指導で進むパソコン教室(近江八幡市マルチメディアセンター)
 9年前、同市は地域情報化の進展に対応する人材育成をめざして「市民IT大学」を開いた。市民約40人が、講習を受け、翌年、修了生の有志が、学んだことを生かそうと、同グループを立ち上げ、5年前、特定非営利活動法人に認証された。

 会員は40人。男性は定年後の60歳代が主力で、女性は50歳代が多い。主な事業はパソコン教室はじめ、出前講習、講師派遣など。パソコン教室(有料)は会員が講師となり、テキストも自家製。ワード、エクセルの2教室で、毎週1回各3時間で、1カ月4回のコース。また11月に年賀状作成コースもある。昨年度の受講者は延べ328人。同市マルチメディアセンターの研修室でのワード教室をのぞいてみると、講師は会員の田辺昭子さん、助手に山口欽正(よしまさ)理事長の二人体制。受講者は、高齢のおじいさんから若い女性まで幅広い。「カーソルを動かして、クリックしてください」とプロジェクターで映るパソコンの画面に沿って、丁寧な指導ぶり。山口さんも、一人一人のパソコン画面の進み具合を点検しながら、次々とアドバイスする。「分かりやすくて楽しい授業」をめざしている。

 受講生の中年女性は「最近、仕事でパソコンを使う必要がでてきて、困ってました。ここでは間違ったところまで全部見てもらえて、大変、役に立ってます」と喜んでいる。また別の女性は「60歳の手習いで、携帯電話の次にパソコンなんですが、むずかしい。家の息子とは違って、教室では何度でも尋ねられて、ありがたいです」と話している。

 一方、教室のほか個人別学習や訪問指導も行っている。個別学習は、同センター内の同法人事務室を使い、希望者一人ずつに講師が付く。インターネット操作やメール、画像処理、複雑な数式処理など要望に応えている。その講師を務める山田孝雄さんは「就職活動にパソコンが必須という若い人から、また町内会などの役員になって、文書やデータの引き継ぎがフロッピーになっているのでとか、動機はさまざまです。講習の結果、喜んでもらえるのが楽しみです」と言う。昨年度の個人別学習は受講者が延べ231人に上り、2年前に比べて4倍近くに跳ね上がった。

 山口さんは「私ら年配者が持っている経験や時間、知恵を使ってボランティアし、社会資源が地域で有効に活用される一助になるように活動していきたい」と期している。

<メモ>特定非営利活動法人 e−はちまん
近江八幡市出町645の4 携帯電話080(6177)1749